猫ちゃんの皮膚糸状菌症

今日はネコちゃんに比較的多い皮膚の感染症をご紹介します。
ネコちゃんはわんちゃんに比べると皮膚の感染症での来院は多くありません。
しかし、この皮膚糸状菌はネコちゃんでは珍しくない病気で、人にも移ることのある病気なので注意が必要です。

今年3月に東京で行われた獣医皮膚科学会で取り上げられた内容も含めて、ご紹介したいと思います。

ネコちゃんは自分でグルーミングをするので、届きにくい末端部(耳介、顔、四肢端、尾など)に多く、脱毛や裂毛(切れ毛)、紅斑(皮膚が赤くなる)、丘疹(ぷつぷつ)、びらんなど多様な症状がでます。
幼若な子や免疫力の低下した子で、発症しやすい病気です。

特によくあるケースは子猫ちゃんの顔周りが痒い、脱毛などでの来院です。

猫種に関わらずかかる病気ですが、特に長毛猫、中でもペルシャは保菌している可能性が高いそうです。

原因菌は猫の場合はMicrosporum canisという菌が99%なので、診断はウッド灯で6~8割くらい光ることで検出できます。(トップ画像のように見えます)
感染毛を顕微鏡で見ると毛の表面が太く不整に変形しているのが確認できます。さらに感染毛を培地にうえて、2週間くらい培養すると確定診断ができます。

皮膚糸状菌は毛に感染するので、治療は塗り薬では治りにくく内服薬でしっかり毛まで届かせる必要があります。
当院では1日1回の飲み薬を処方することが多く、軽症の子は1カ月くらいで症状がおさまることが多いです。

小さいお子様や高齢の方がお家にいる場合、感染猫ちゃんの毛やフケに接することがないよう、猫ちゃんのいるお部屋をわけるか、掃除を徹底しましょう。アルコールは効果がないので、塩化ベンザルコニウムか塩素系を使用して消毒してください。

人に感染すると、環状紅斑と呼ばれる、まるくて赤い病変が現れて、痒みも強いようです。
うちに子もしっかり感染しましたが(笑)、人の皮膚科では塗り薬が処方され、約1週間で痒みは治まりまったようですが、赤みは1カ月近く残りました。

猫ちゃんに限らず、皮膚糸状菌は身近な人獣共通感染症です。他にも動物から人にうつる病気はありますので、ご家族の健康のためには、日頃から動物との適正な距離感を持って接することも大切ですね!

この記事を書いた人

獣医師 伊村晶子
皮膚科認定の資格取得に向けて勉強中。子供たちに命の大切さを伝える活動もしています。ポックル動物病院も私自身も、動物と飼い主様のお力になれるようずっと成長し続けていきたいと思います。

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