ポメラニアンの脱毛症

今日ご紹介するのは、4歳のポメラニアンのモモちゃん。
だんだん首や背中の毛が抜けてきて、すっかり毛が薄くなってしまったということでのご来院。
痒みはなく、ただ毛が少しずつ薄くなっていきました。
皮膚の検査で感染症もなく、アレルギーもなく、血液検査でホルモン値なども異常ありませんでした。

モモちゃんの毛の質はキシキシと乾いた感じがあり、ドライスキンも見られました。このように犬種、検査結果、症状から診断をしぼっていくことで毛周期停止症(アロペシアX)が疑われました。
この病気の病態については不明な点が多く、脱毛以外には健康状態としては問題ありません。頭や手足だけ毛が残って完全に毛がなくなってしまう子もいます。確立された治療もないため、飼い主様と相談しながらホルモン剤などのお薬やサプリから始めますが、効果が出るまでにとても時間がかかることが多いです。
モモちゃんも5種類ほどお薬やサプリを試していき、飲みやすいものを継続してもらったところ、5カ月目からわずかに毛量が増えてきました。
そして9カ月目でようやくほぼもと通りのふさふさに!ただ前は黒かった毛がやや薄く茶色くなって生えてきました。

最初は飲みづらいお薬に苦戦したこともありましたが、投薬を頑張って継続してくれた飼い主様に感謝です!
モモちゃん、今年はふさふさで温かい冬を迎えられてよかったね♬

この病気は必ずしも毛が生えるとは限らないのですが、学会や論文等で治療効果が報告されているお薬やサプリや保湿剤などのご提案をさせていただくことはできますので、お悩みの子がいましたらご相談くださいね。

この記事を書いた人

獣医師 伊村晶子
皮膚科認定の資格取得に向けて勉強中。子供たちに命の大切さを伝える活動もしています。ポックル動物病院も私自身も、動物と飼い主様のお力になれるようずっと成長し続けていきたいと思います。

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