ウサギの便がでなかったら、どうする?(直腸閉塞の手術画像あり)

暑い日が続き、ビールと冷酒が美味しい日々となっていますね(私だけでしょうか・・・)。
最近は運動不足をひしひしと感じ、趣味の登山を再開してみております伊村です。
山に籠もると、頭を空っぽにしてひたすら一歩一歩に集中する事になるので、リフレッシュには最適です。病院からの緊急連絡に出られないことがあるのがたまに傷ですが・・・。

今回は、お腹が詰まってしまったウサギのぶっちちゃんの紹介をします。

ぶっちちゃんは急に食欲がなくなり、かかりつけの病院さんで治療をしてもらっていたのですが、治療しても便が出ないことを心配されて来院されました。

便が出ないウサギさんを見たとき、私たち獣医師の頭の中では以下のように考えています。

1.詰まっているのか、そうじゃないのか?
2.問題があるのは、胃・小腸・盲腸・大腸のどこなのか?
3.消化管以外の問題から、二次的に便が出なくなっているのではないか?

ぶっちちゃんの場合、
胃から盲腸までは食べ物が通過しているにもかかわらず、全く便が出ないこと
血液の検査で、他の臓器には全く問題がみられないこと
便が全く作られてこないこと
以上の点から、盲腸から大腸に閉塞があるのではないかと考えられました。ご来院されてから3日目に、急遽手術を行う事になりました。

お腹をあけてみると、まず盲腸がパンパンで一部は充血していました(先の画像)。
消化管をたどってみると、盲腸の出口(直腸に入ってすぐ)の部位に毛玉がつまっており、ごはんが流れない状態になっていました(後の画像)。

盲腸がパンパン、変色もしています。
指の部分に毛玉が詰まっています。

腸を切開し、詰まった毛玉を除去した後に慎重に縫合して手術は終了としました。
盲腸が充血していたため、回復までに時間がかかりましたが無事に便はでるようになり、退院となりました。

便がでない、という場合、様子をみるか、積極的な治療をするかの判断が生死を分ける場合もあります。
手術が必要なケースはあくまで一握りですが、自己判断に任せないで動物病院を受診するようにしてください。

この記事を書いた人

院長 伊村啓
院長 伊村啓
動物病院は、飼い主様と一緒に、大切な家族である動物たちの幸せを考え、不安や苦しみを解消する場です。検査もただ行えば良いという訳ではありませんので、必要な理由をきちんとご説明した上で進めていきます。筋道を立て、とにかく分かりやすく説明する事には特に力を入れています。

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