胆嚢破裂を乗り越えたポコちゃんの話

トップ画像は先日の嬉しいひとコマ、長期入院していたポコちゃんがトリミングに来てくれた時のもの。
ポコちゃんは病気明け、しかも当院では初めてのトリミングだったのでトリマーさんは様子を見ながら慎重に進めてくれました。
おかげで気持ちよさそうにシャンプーされ、台の上でもお利口さんにカットされていましたよ♪

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さて、人にもわんちゃんにもある『胆嚢』という臓器をご存知でしょうか?
肝臓の横にある小さな袋で、胆汁という消化液を貯めている袋になります。
ちなみにすべての哺乳類にあるわけではなく馬、鹿、ラットには胆嚢はありません。
今日はその胆嚢の病気のお話ですが、わんちゃんには時々みられます。
例えば看護師大西のMダックスの花道くんは、健康診断で見つかった胆泥症という病気で投薬と定期的なエコー検査を受けています。
そしてつい数か月前にトリマー植村のチワワのまはろちゃん、胆嚢粘液嚢腫という病気で胆嚢を取る手術をしています。
そして話は戻ってポメラニアンのポコちゃん、まはろちゃんと同じ病気がさらに進行した状態での来院でした。

先月中旬のこと、朝からずっと吐いていると来院。お腹が張っており、重度の痛みがあるようでした。
血液検査、超音波検査、腹水を採取しての検査の結果、高濃度のビリルビンが腹水から検出され、強い腹膜炎がありました。胆嚢が本来あるべき所に確認できない事もあり、胆嚢破裂と診断。
すぐ入院となり、点滴で脱水改善、電解質の補正をしたところで、翌日手術となりました。
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大きな手術、そして年齢も9歳とやや高齢なので麻酔や鎮痛にもすごく気を遣いました。
お腹をあけても胆嚢は奥の方にあり(写真)、周りの組織と癒着もしているのでアプローチも大変です。
胆嚢から飛び出してしまった胆嚢の内容物を摘出したのち(写真)、胆嚢自体を切除します。
そして胆汁が漏れたお腹の中を何度も洗浄して閉腹。IMG_2794

診察終了後から日付が変わるくらいまでかかったでしょうか・・・それでも麻酔からの覚醒はすごく早くて、ポコちゃんの回復力に驚かされました。
術後も4日間点滴を続けましたがどんどん顔つきもよくなり、食欲も出てきたところで退院。
退院後の血液検査も問題なく、投薬も終了し、その後はおうちで元気に過ごせていたそうです。
そんな頑張りを見せてくれたポコちゃん、今日は飼い主さんに抱っこされた元気そうな姿を見れて私も本当に嬉しくなりました。
今後も定期検査は必要ですが、これからも長生きできるよう頑張りましょうね!
胆嚢の病気は無症状のまま進行してしまうことが多いので、定期的な健康診断を受けて早期に発見してあげましょう。

この記事を書いた人

獣医師 伊村晶子
皮膚科認定の資格取得に向けて勉強中。子供たちに命の大切さを伝える活動もしています。ポックル動物病院も私自身も、動物と飼い主様のお力になれるようずっと成長し続けていきたいと思います。

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