どうなる動物用人工呼吸器

新型コロナウイルス感染拡大がなかなか収まらず、再度札幌にも緊急共同宣言が出されましたね。
それを受け、当院ではより積極的な感染予防対策を実施させて頂く事となりました(詳しくは右下画像)。
万が一スタッフに感染者がでた場合、2週間の休診となってしまいますので、本当に救わなければならない動物のためにもご協力お願いします。

さて3月25日のアメリカのニュースです。
https://www.bbc.com/news/uk-england-52026687
アメリカにの獣医大学にある動物用人工呼吸器を人医療に転用してコロナの感染患者さんを救おうというニュース、衝撃を受けました。
さらにフランスでは人工呼吸器提供だけでなく、それを扱える獣医師も医療にボランティア参加という驚きのニュースです。
https://www.afpbb.com/articles/-/3276978?pid=22270426
そして日本でも3月31日のニュース。
https://www.fnn.jp/articles/-/26957
これによると、日本でも動物用人工呼吸器を製造していた会社は当面、人医療用として全力で生産するようです。
新型コロナウイルスに感染した人を救うためには欠かせない機器であり、数が追い付かない事態が伺えます。

さて今日はこのようなニュースで耳にすることの増えた人工呼吸器がどのような機械かご紹介したいと思います。
当院で最も人工呼吸器が活躍する場面は、コロナ感染のような肺炎患者ではなく、麻酔をかける手術の時です。
麻酔で呼吸が止まっても自動的に肺に酸素を送ってくれるのが人工呼吸器ですので、安全な麻酔維持には欠かせません。
手術だけでなく、ワクチンアレルギーやショック症状など呼吸の止まってしまった症例にも使用します。
そしてこのニュースでも言われているように、酸素を送るという機能としては肺を持つ生き物すべてに共通して使うことができます。
当院ではこれまで、体重400グラム程度のフトアゴヒゲトカゲから、50キロ弱の大型犬くらいまで使用してきました。
気管挿管さえできれば使えるため、動物種としてはイヌ、ネコはもちろん、ウサギ、フェレット、モルモット、カメレオン、キバタンやニワトリなど大型鳥類、カメなどに使用したこともあります。
換気量による設定だけでなく、換気圧による設定もできるので、小さな動物でも肺が破裂するようなことなく使えるのも安心です。
それにしても、開院から5年、これだけ各種動物の呼吸をサポートしてきた機械を人に転用するのは衛生的にどうなんだろうという疑問はありますが・・・
これ以上感染が拡大し、日本でも動物病院の人工呼吸器まで転用しなければならなくなるような事態にならないことを祈りつつ、人命のためなら貸し出す覚悟もしておかねばと考えさせらたニュースでした。

この記事を書いた人

獣医師 伊村晶子
皮膚科認定の資格取得に向けて勉強中。子供たちに命の大切さを伝える活動もしています。ポックル動物病院も私自身も、動物と飼い主様のお力になれるようずっと成長し続けていきたいと思います。

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