動物病院のこれ何でしょう~皮膚検査の紹介~

短めのペンのようなサイズ、先端が丸い形のこちらの器具。あまり見慣れないものかと思いますが、何に使うものでしょう?
先端は鋭利な刃物になっていて、皮膚をくりぬくための検査器具『生検トレパン』といいます。
フランス語で、TREPAN JETABLE POUR BIOPSIEということで、通称トレパン。
子育て経験者はトレーニングパンツの略かと思っちゃいますよね(笑)
こちらは穴あけパンチの要領で、皮膚の深部まで全ての層を摘出して、皮膚でどんな変化が起こっているのかを専門の検査に出すために使います。この検査を皮膚病理検査といいます。

さて、どんな時に使うかというと、皮膚病の確定診断をしたい時に登場します。
日常的な皮膚の検査としては、視診(皮膚の状態や病変の分布の観察)、染色検査(細菌や真菌などの顕微鏡検査)、毛検査(毛の状態を確認する顕微鏡検査)、ウッド灯検査(皮膚糸状菌の検出検査)、掻把検査(ニキビダニなど毛穴の中の感染をみる検査)などがよく用いられます。
一般的な皮膚の感染症やアレルギーなどは診断がつくことが多いのですが、これらの検査では診断のつかない病気もあります。

たとえば上記の検査で感染症などないのに背中に脱毛が広がるバーニーズマウンテンドッグのぼたもちくん。
シャンプーや保湿をしてみても、カサカサ・・・
そこでこの器具が登場!生検トレパンで3カ所取り、病理検査に出すと、『脂腺炎』という診断結果が届きました。
教科書的にはプードルや秋田犬にみられることの多い、珍しい病気なので驚きの結果でした。

生検トレパンによる検査は、顔回りなど場所によっては鎮静を使わないと検査できないので、麻酔リスクや時間と費用がかかるというデメリットもあります。しかし早期に検査をすることでスムーズに診断がつき、早期に治療が開始できることもあります。
上の写真のチワワちゃんは痒み症状での転院症例でしたが、病理検査結果から『壊死性遊走性紅斑』という、命に関わる病気が見つかりました。この子は肝臓を原発とする代謝性の病気で、低アルブミン血症により皮膚が壊死しまう病気でした。

このように獣医皮膚科領域ではとても役に立つ器具、生検トレパンによる病理検査のご紹介でした。
原因不明の皮膚病で困ったな、という時はこのような検査も検討するとよいかもしれませんので、ご相談くださいね。

この記事を書いた人

獣医師 伊村晶子
獣医師 伊村晶子
皮膚科認定の資格取得に向けて勉強中。子供たちに命の大切さを伝える活動もしています。ポックル動物病院も私自身も、動物と飼い主様のお力になれるようずっと成長し続けていきたいと思います。

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