モルモットの皮膚糸状菌症

朝晩は冷え込む日も増え、そろそろこたつを出そうかと、なかなか重い腰が上がらない獣医師の谷です。

今回は、モルモットの皮膚感染症のひとつ、皮膚糸状菌症(真菌感染症)の紹介をしようと思います!

実は我が家のモルモット、お迎えして1週間が経つ頃にある異変に気付きました。
それは「なんだか痒そう」
なんとなく、グルーミング以上に体を掻く頻度が増しているように感じました。
気にして見ていると、徐々に両耳の後ろあたりの毛が薄くなり、ペットシーツ上に落ちる抜け毛とフケが気になるように…。
すぐに毛の検査をしました。
結果は、皮膚糸状菌症(真菌感染症)。内服薬で治療し、1ヶ月経つ頃には痒みも解消され、脱毛していた部分も綺麗に生え揃いました。

皮膚糸状菌症とは犬猫だけでなく、デグー、モルモット、うさぎ、チンチラ、ハリネズミなど様々な動物で感染の可能性がある疾患です。
モルモットにみられる皮膚糸状菌症では、痒みや脱毛の症状が出る子もいれば、無症状の場合もあります。
当院の検査としては、症状が出ている部位や周辺の被毛やフケを採取し培地に植える、培養検査を行います。皮膚糸状菌が発育する際に産生する代謝産物により1〜2週間で培地の色がオレンジ色から赤色に変化します。この色の変化とコロニーを観察し、判定していきます。

検査に使用する培地です


治療は抗真菌剤の内服薬や外用薬で行いますが、長い期間を要することもあります。
またこの疾患は若齢期やストレス、免疫力が低下している時に発症しやすいとされています。直接の接触だけでなく、抜けた毛やフケからも感染が起こるため、治療中はケージなどの衛生管理にもいつも以上に注意をはらう必要があります。同居動物がいる場合は隔離した方が良いでしょう。さらに種によっては人にも感染する恐れがあります。

モルモットの皮膚疾患には、今回紹介した皮膚糸状菌症の他にも、外部寄生虫(ダニ、ノミなど)や細菌の感染症、ホルモン関連性の疾患といったものもあります。

何か症状として気になる時はもちろん、健康診断時には皮膚の状態も一緒に確認していきましょう。

この記事を書いた人

獣医師 谷
ハムスターを飼っていたことから、エキゾチックアニマルの診療を行う獣医師になりたいと考えるようになりました。大学在学中にはすっかりモルモットの虜となり、現在は2匹のモルモットとともに暮らしています。
動物たちと飼い主様に寄り添う獣医師になれるよう、日々精進してまいります。

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