肛門嚢(腺)、ご存じですか?

昨年12月、雪が降り始めた頃は、今シーズンは雪が少なくて楽かも⁉︎と期待した中村ですが、全然そんなことはなかったですね・・・
皆様、雪が降るたび大変かと思いますが、事故や体を痛めないよう、十分気をつけて雪かき頑張りましょう!

そんな人間の思いとは反対に、我が家のワンコは積もった雪をわっせわっせと楽しそうに漕いで、走り回っています。
外に行く時は、必ずお気に入りの木の棒をくわえて行くのですが、先日その棒が積もった雪に埋もれて行方不明になってしまいました。
しかも、スペアを含めて3本全て!!
においで掘り当てられるのでは?という期待も虚しく、全く探せない我がワンコ・・・
本人もしょんぼりした様子でしたが、雪解けまで待つしかないようです。

さて、そんなワンコですが、最近おしりのあたりをやたらと舐めたりかじったりしているのを発見。見てみると、肛門とその周りの皮膚が真っ赤になっていました。
ん??これは、アレかな?と、肛門の下をギューッとやると、その後はおしりを気にしなくなったので、やはりアレが原因だったようです。

そう、肛門嚢(腺)です。
わんちゃん、ねこちゃんの飼い主さんはご存知の方も多いでしょうが、簡単に説明すると、肛門の左右の皮膚の下にある袋状の分泌腺で、強いにおいのする分泌液が溜まっています。
このにおいで、自分以外の相手を識別したり、マーキングをすると言われています。
通常は、この中身が肛門の内側にある開口部から排便時に一緒に出ます。驚いたり、興奮したり、激しく吠えたりしたときにピュッと出ることもあります。
分泌物の性状は個体差があり、サラサラのこともあればペースト状でもともと出にくい子もいます。また同じ子でも、開口部が詰まったり、下痢や便秘、加齢・肥満など様々な原因で分泌物の性状の変化や排出不良が起こると肛門嚢に過剰に溜まってしまいます。
一般的に大型犬や猫では、小型犬に比べ自力で出せることが多いです。

肛門嚢内に分泌物が溜まりすぎると、違和感や痒みから、おしりを擦り付けて歩いたり、おしり周りを舐めたりかじったり、尻尾を追いかけクルクル回る動作が見られます。
さらに肛門嚢に細菌感染が起こると炎症が起き、痛みや腫れが出たり、悪化すると肛門嚢が破裂して皮膚に穴があき、出血や膿状の内容物が排出されます。
治療としては、症状が軽ければ抗生剤等の使用になりますが、炎症が強い場合やすでに破裂している場合は、切開排膿や消毒・洗浄など外科的な処置が必要です。

予防としては、自力では出しにくい子は定期的に(個体差がありますが、月に1回程度)肛門嚢を圧迫して出してあげることです。
うちのワンコは、普段は大丈夫なのですが、今回はなぜか自力で出せず、かなり溜まっている状態でした。幸い炎症には至らず、圧迫して出した後は普段通りに戻りました。
ですので、いつもは自力で出せている子でも、上記のようなおしりを気にする様子が見られた場合は、もしかして肛門嚢が原因かもしれません。
難しい場合もありますが、おとなしい子であれば、コツを掴めばおうちでもできますので、ぜひチャレンジしてみてください!

※においが強く、周りに飛び散ることがあるので、お風呂場で、できれば使い捨ての手袋をすることをおすすめします。シャンプー時だとそのまま洗い流せるのでさらにおすすめです。

 1  尻尾を痛くない程度に左手でしっかり上に持ち上げます(左利きの人は右手で、以下も反対になります)

 2 肛門を時計盤に見立てたときに、だいたい4時と8時の位置(の皮膚の奥)に肛門嚢があるので、右手にティッシュ  を数枚もち、左の肛門嚢は親指で、右の肛門嚢は残りの指でやや押し込むように皮膚の奥を掴んでから手前に  
  引き寄せるようにして絞ります

 3 内容物が出たら、数回繰り返し最後まで絞ります

 4おしりの汚れを拭きます(分泌物がついたままだと非常ににおいます!)

尻尾の短い子、おしり周りの肉付きが良い子は難しいかもしれません・・・
力加減が強すぎると痛いので、絞る際は一気にギュッ!とやるのではなく、ゆっくり、強すぎない程度にきゅ〜とやってみてください。
出ないからといってギュウギュウすると、出口が塞がっている場合は破裂の危険性もありますので、無理に絞らないでくださいね。

病院での処置はもちろん、おうちでのやり方もお教えいたしますので、他の診察のついで、または肛門嚢(腺)のみでも、当院にお気軽にご相談ください!

この記事を書いた人

獣医師 中村
獣医師 中村
出産を機に仕事から離れていましたが、また獣医師として動物と関われることになり、嬉しさと同時に身の引き締まる思いです。
動物と飼い主様の両方に寄り添った診療ができるよう、努めて参りますので、よろしくお願いいたします。

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