わんちゃんの痒みを抑える注射

今日はわんちゃんの新しい治療法のお話です。
わんちゃんの皮膚病の中でも、犬アトピー性皮膚炎はとても多い病気です。
遺伝的素因があり、当院でも柴犬、フレンチブルドッグ、ウェスティ、シーズーなどが多く来院しています。
特に夏になると悪化する子が多く、手足をなめる、顔やお腹を掻く、外耳炎を繰り返している子などはこの病気かもしれません。
生まれつき皮膚の角質層が薄く、バリア力が弱いため、すぐに環境のアレルゲンが皮膚に入り込んでしまうことで発症するため、完治させることは難しいのですが、痒みストレスがないレベルでQOLを維持することを目標に治療をしていきます。

人の皮膚病では塗り薬が主な治療となるのですが、動物には毛があるので内服のお薬が主な治療となります。
古くからある順に、ステロイド(プレドニゾロンなど)、免疫抑制剤のシクロスポリン(アトピカ、アトモアチュアブルなど)、分子標的薬のオクラシチニブ(アポキル)などが犬アトピー性皮膚炎に使われる主な痒み止めで、すべて内服のお薬でしたが、そこに登場したのが抗体医薬のロキベトマブ(サイトポイント)という注射薬です。
少し難しい単語が並んでしまいましたが、抗体医薬というのは抗体で作られたお薬なのでサイトポイントは9割がイヌのタンパク質でできています。
わんちゃんの身体の中で免疫にかかわる抗体とよく似たものを注射することで、平均4週間、痒みの原因物質(IL-31)と結合して『痒い』というシグナルを止める働きをしてくれます。
月1回注射するだけなので、お薬を飲めない子やシャンプーや塗り薬など他の治療が難しい子にはおすすめの治療法です。
またステロイドなどのお薬のような副作用がほとんどなく、安全性が高い治療です(短期の臨床試験での安全性は確率されていますがまだ新しい薬なので長期データはありませんが。)症状がひどい時だけ他の薬を飲むこともできるので、他の薬を減らすために併用することもできます。
ただ痒い症状なら何でも効くわけではなく、犬アトピー性皮膚炎と診断した上で使うお薬であること。また効果があるのは約7割の子であること。痒みを止めるだけで消炎作用はないので重症の子には向かないこと、他のお薬よりやや高価なこと、などがデメリットになります。
もちろんそれぞれのお薬に良い所、悪いところがあるので、うちの子にあう治療がどれなのか、実際は飼い主さんと相談しながら治療を進めていくことになりますが、新しい選択肢が増えたことで救われる子もいるのでご紹介させていただきました。

実は

トップ画像はやらせ写真ではなく、うちのぼたもち(バーニーズ、もうすぐ7歳)もお世話になっています。若い時は外耳炎だけでしたが年々痒み症状が悪化していてまして…ついにサイトポイント、快適です♪
皮膚病のご相談、お気軽にお問い合わせくださいね。

この記事を書いた人

獣医師 伊村晶子
獣医師 伊村晶子
皮膚科認定の資格取得に向けて勉強中。子供たちに命の大切さを伝える活動もしています。ポックル動物病院も私自身も、動物と飼い主様のお力になれるようずっと成長し続けていきたいと思います。

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