今日はねこちゃんに多くみられる心臓の病気をご紹介します。わんちゃんに比べるとねこちゃんには心臓病で通院している子は少ないですが、『肥大型心筋症』という病気が猫では一番多いです。うちの子もこの病気が心配なので毎年検査をしています!
原因はまだ解明されていないこともありますが、遺伝性の病気で、遺伝子変異により心筋の変性がおこると言われています。なので、メインクーン、ラグドールが最もハイリスク、次いでアメリカンショートヘア、ブリティッシュショートヘア、ノルウェージャン、ペルシャなども好発品種とされていますが、短毛の雑種でも起こりうる病気です。また健康猫での調査で14.7%の有病率という報告もあり、実は1割くらいの猫ちゃんが肥大型心筋症をかかえているともいわれています。性別は男の子の方が多いとされいます。
この病気の症状は主に3パターンあり、①無症状②呼吸困難③麻痺または突然死、にわかれます。
心臓というのは筋肉の壁でできた4つのお部屋で、血液をポンプのように全身に送り出す臓器ですが、肥大型心筋症になると心臓の筋肉が分厚くなりお部屋が狭くなってしまいます。これにより全身に血液を送る力が低下して、さまざまな症状が現れます。
①無症状・・・おそらく軽度の心筋肥厚で生活に支障なく、気づくこともないケース
②呼吸困難・・・肺から心臓に血液が戻りにくくなるため、肺に水がたまったり、胸に水がたまるケース
③麻痺や突然死・・・心機能が落ちると血栓ができやすくなり、塞栓症をおこすケース。血栓がつまる部位によって足の麻痺や突然死など症状が変わります。
少し難しい話になりましたが、どうしたらうちの子を守ることができるのか・・・予防法はありませんが、定期検査で早期発見することが可能です。聴診だけではわからないことが多いのですが、心臓のエコー検査とレントゲン検査で診断することができます。また血液検査でも心臓のマーカーを調べることができるので、健診の際にオプションで追加するのもおすすめです!
発症年齢は子猫からシニアまで幅がありますが、2歳から8歳くらいと若めで発症することが多いので、シニアでなくても注意が必要です。また全身麻酔をかけることがあれば、心機能低下は麻酔リスクとなるので、麻酔前には心臓の検査をしてあげた方が安心です。
下の写真は以前SNSでも紹介させてもらったシンバちゃん(マンチカン、2歳、男の子)
突然の呼吸困難で来院し、ICUの酸素濃度でも開口呼吸がどんどん悪化して、寝かせて気管挿管をとって人工呼吸管理をしながら、胸のお水を抜く治療を頑張ってくれました。お水が抜けるのに丸1日以上かかることもあるため、途中から札幌夜間動物病院さんに人工呼吸をしながら緊急移送。翌朝退院報告があり、ほっとしました。現在もおうちで生活できていて、先月の健診では、走り回ってお薬もがつがつ食べてくれると嬉しい報告でした。心臓の闘病生活は長くなることもありますが、できるだけおうちで苦しむことなく過ごせるようサポートさせていただきたいと思います!
ICUでも呼吸困難で開口呼吸 人工呼吸管理で肺のお水を抜く治療 札幌夜間動物病院へ緊急移送
この記事を書いた人
- 皮膚科認定の資格取得に向けて勉強中。子供たちに命の大切さを伝える活動もしています。ポックル動物病院も私自身も、動物と飼い主様のお力になれるようずっと成長し続けていきたいと思います。
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