今回の紹介は、ミシェルちゃん。
2歳のヨツユビハリネズミです。
3日前から、血尿をしているとのことで来院されました。見てみるとかなり濃い血液が出ている・・・
本人は元気でご飯も食べていましたが、飼い主さんと相談の上、急遽精密検査を実施することに。
ハリネズミの精密検査では、当院では吸入麻酔(ガス麻酔)を用います。
血液検査、レントゲン検査、超音波検査を行うためには必要な場合がほとんど。
麻酔自体のリスクはゼロではないものの、ほとんどの子が麻酔をオフにして2〜3分で元通りに歩き始めます。
さて、検査の結果。
血液検査では重度の貧血。
レントゲン検査では明らかな異常はみとめられないものの、下腹部に普通と違う陰影・・・(写真上)。
そして腹部の超音波検査で、子宮と思われる臓器が異常に腫大しているのが確認されました。
検査終了後、一度麻酔から覚醒。
貧血の程度から、このまま待っていると出血多量で命に関わる可能性が高いと考えられました。
飼い主さんの了承を得て、そのまま緊急手術を実施することに。
開腹すると、腫大し変色した子宮が確認できました(写真中央)。
重度の貧血を起こしている状態なので、時間との勝負です。
ミシェルちゃんの頑張りもあり、手術は無事終了。
術後の経過も良好で、手術翌日からしっかりご飯を食べてくれました。
飼い主さんの判断が迅速でしたので、何とか状態が悪化する直前で手術を行う事ができました。本当にほっとしています。
再診の際にも、びっくりするくらい元気な顔を見せてくれました(写真下)。
体の小さな動物は、ちょっとだけ来院が遅れたり、判断が遅れたりすると状況がかなり変わってしまいます。
おかしいな・・・と思ったら、すぐ判断してあげるようにしてくださいね。
この記事を書いた人
- 動物病院は、飼い主様と一緒に、大切な家族である動物たちの幸せを考え、不安や苦しみを解消する場です。検査もただ行えば良いという訳ではありませんので、必要な理由をきちんとご説明した上で進めていきます。筋道を立て、とにかく分かりやすく説明する事には特に力を入れています。
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