チンチラの急性腎不全

今日はチンチラの患者さん、めいちゃん(4歳の女の子)の病気の紹介です。
チンチラという動物に馴染みのない方も多いと思いますが、ふわふわの毛と大きなお耳がチャームポイントの南米に生息するげっ歯類。
げっ歯類といえば歯の治療で来院する患者さんが多く、めいちゃんも何度か食欲が落ちてきてお口の検査をすると、臼歯に尖ったところが出てきていてそれを削る治療をしていました。しかし今回の症状は食欲がないだけでなく、元気もないおしっこが出ない手が震えているということでの来院でした。

来院時には本当にぐったりした様子で、いつものめいちゃんとは全然違う様子。
体重540gの小さな体ですが、レントゲン、エコー、血液検査のフルコースで検査を進めました。
小さな動物はもちろん血管も細いので、採血は難易度があがります。
チンチラの場合、お耳から採血をすることが多く、わずか0.1㏄ほど採ることができればベトスキャンという機械でたくさんの項目を調べることができます。
めいちゃん、写真のようにくるくるとタオルに巻かれ、おとなしく採血に協力してくれました!IMG_0697

 

 

 

さて血液検査の結果は、BUN(尿素窒素)160、CRE(クレアチニン)9.9と腎臓の数値が2つとも跳ね上がっていました。
めいちゃんの不調の原因は急性腎不全だったのです。
なんらかの原因で、腎臓が機能しなくなってしまっていたのです。
腎臓は血液中の老廃物を尿として排泄してくれる臓器なので、働きが悪くなると窒素代謝物が溜まってしまいます。
人ではそれを透析で血液浄化治療ができるのですが、残念ながら動物ではありません。
そのため点滴で保液しながら、おしっこが出るよう体液のバランスを整えていきます。
しかしチンチラのように血管に点滴の留置をとれないくらい、小さな動物では血管のかわりに、後肢の骨髄に留置をとり、そこから点滴を流します。IMG_0696
こうして即日、入院での治療となっていためいちゃん。初日はおしっこがでませんでしたが、翌朝には19g、夕方には37gとどんどんおしっこが出るように!
まだ食欲はいまいちで強制給餌を続けていましたが、さらに翌日、入院3日目には血液検査の数値もぐんぐん良くなり(BUN76、CRE1.8)、少しだけ自分でごはんも食べるようになってきました。
もう元気に動き回るようになると管が絡まって後ろ足からの点滴を続けるのは難しくなるので、皮下点滴に切り替えて治療を続けました。
そして5日目には腎臓の数値はほぼ正常となり、元気も食欲もかなり回復してきたので無事退院!

1週間後の再診にはすっかり元気そうな姿を見せてくれためいちゃん。
めいちゃんの劇的な回復には、スタッフ一同、本当に嬉しくなりました。

腎不全はどんな動物にも起こる、そして命にかかわる怖い病気です。
今回のように、おしっこが出ないという症状だけでなく、逆に多量のおしっこをするというケースもあります。
動物を飼っている方は毎日のおしっこの量を欠かさずチェックしてあげてくださいね!

この記事を書いた人

獣医師 伊村晶子
獣医師 伊村晶子
ポックル動物病院が、地域の人に愛される病院となっていけたら嬉しいなと思っています。ポックル動物病院を通じて、動物のため、そして飼い主様のためにお力になりたいです。

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