ウサギの鼻腺癌

ようやく春らしくなってきました。
当院では四月から健康診断を行いますので、その準備に追われています。

今回ご紹介するのは、ウサギのこたろう君。
半年前からくしゃみが続いており、様々な治療をしているが治らない、とのことで来院されました。

鼻の症状は、歯根に影響を受けているケースも多いのですが、レントゲン検査では明らかな歯の異常はありません。
当院では、まず細菌感染症を疑い、過去に使った事がないと思われる抗生剤、点鼻薬、ネブライザー治療を実施しました。

しかしそれらの治療により一時的には症状が緩和したものの、完治しません。
さらに鼻の一部が変形してきたために、CT検査を実施しました。
(当院にはCT撮影装置がないため、他の病院さんにお願いしました)

CT画像でみると、鼻の内部(鼻腔)が変形し、内部に組織が増殖していました。

このまま内科療法を継続しても改善する見込みが少ないと判断。
外科手術をおこなう事になりました。

鼻の上部の骨をドリルで削り、内部にアプローチ。


(写真は鼻の内部を綿棒で止血しているところ)

すると内部には腫瘍組織がみっちり詰まっていました。できる限り腫瘍を除去した手術後の動画がこちら。

参考までに手術前の動画がこちら。(左目は腫瘍に押された結果として濁ってしまっています)

手術前は鼻が詰まっており、口を開けて呼吸しています。手術後は口を閉じて、楽に呼吸できていますね。
手術後は以前のように飼い主さんについて回るようになり、食欲も元通り旺盛になった様子。

摘出した組織を検査に回したところ「鼻腺癌」というウサギでは珍しい悪性腫瘍でした。
そのため、今は定期的に鼻腔内を腫瘍や壊死組織を除去し、抗がん剤も併用しています。
治療は決して楽ではありませんが、元気いっぱいのこたろうちゃんとご家族から、私たちも元気を貰っています。

このようにウサギの鼻の疾患は、ただ漫然とお薬を使用していても治らないケースもあります。
中には外科手術で改善できるケースもありますので、できるだけ早めに動物病院で詳細な検査を受ける事をおすすめします。

この記事を書いた人

院長 伊村啓
院長 伊村啓
動物病院は、飼い主様と一緒に、大切な家族である動物たちの幸せを考え、不安や苦しみを解消する場です。検査もただ行えば良いという訳ではありませんので、必要な理由をきちんとご説明した上で進めていきます。筋道を立て、とにかく分かりやすく説明する事には特に力を入れています。

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