ウサギやげっ歯類の不正咬合

こんにちは獣医師の向田です。最近は暖かい日も増えてきてやっと春が来たなとしみじみ感じますね。

今回のブログではウサギやげっ歯類に多い不正咬合について書いて行きたいと思います。
不正咬合とは上顎と下顎の位置のずれや、歯並びの乱れなどの理由で、上下の歯がきちんと咬み合っていない状態を指します。

ウサギやモルモット、チンチラでは臼歯と切歯がリスやハムスター、マウス、ラットでは切歯が生涯にわたって伸び続けるため、通常は伸び続ける歯を繊維質の食べ物を歯と歯をすりあわせてすりつぶして食べたり、硬い木をかじったりする事で臼歯や切歯が伸びすぎることを防いでいます。しかし繊維質のものを余り食べなかったり、金属のケージをかじって歯が折れてしまったりすると、一部の歯が異常に伸びてしまったり、うまく歯がかみ合わなくなってしまい不正咬合になってしまいます。

不正咬合の症状としては、
①よだれが多くなってきた(唾液をうまく飲み込めないため)
②体重が減ってきた(うまく食餌が出来なくなってしまうため)
③食欲不振(伸びすぎてしまった歯が口腔内に当たってしまい痛いため食欲が減少)
④涙が出る。眼球が突出している(歯根部の感染症による膿瘍の形成、眼窩へ歯根部が突出する事による)
といったものがあります。

不正咬合になってしまった場合は延びてしまった歯を削ったり、ゆがんでしまった歯列を削って整える必要があります。
一度不正咬合になってしまうと完治する事はあまりなく、ある程度の間隔で再び伸びた歯を削る処置をしなければならなくなってしまう事が多いです。

歯を削るには鎮静や麻酔をかけた上で写真の様に開口器をつけて口の中をよく見える状態にして、歯科用のドリルで伸びた歯を削って整えていきます。

 

 

 

開口器をつけて口の中を良く見える状態にしても口の中は狭く、小さいため術者は拡大鏡をつけて歯を削る処置をしていきます。下の写真で頭につけているのが拡大鏡です。
拡大鏡をつける事で口の中がよりよく見えるようになり処置がぐんとやりやすくなります!

 

 

 

臼歯の一部だけが尖って伸びている、切歯だけが伸びすぎてしまっている場合は麻酔や鎮静をかけずに処置できる事もあります。
最近なんだか口の周りが汚れている。食欲がだんだん落ちてきた等の症状がある場合にはお口のチェックをしてみるのも良いかもしれません。
お口の中の様子が気になるというかたは是非一度ご相談下さい!

 

 

 

 

 

この記事を書いた人

獣医師 原田
獣医師 原田
エキゾチックアニマルが病気になってしまった時に相談できる動物病院がとても少ないことを実感したことが、エキゾチックアニマルの診療を行う獣医師になろうというきっかけです。飼い主様が問題に直面して時に気軽に頼ってもらえる獣医師になれるよう日々勉強中です!

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