おしっこが詰まると…

猫3匹の我が家、毎朝猫たちのごはんコールで起こされます。特に食欲旺盛の若い子たち(ろく&ゆば)は、もう器に入れるとあっという間に空っぽになるほどの勢いです。
ところがある日の朝、ろくちゃんがうずくまったまま動きません。器にごはんを入れても寄ってきません。昨晩まですごい食欲で駆け回っていたのにのにどうしたんでしょう?
なでてみるとお腹を触られるのを嫌がります。それでも触ると膀胱がパンパンです。本人は陰部を気にしてぺろぺろなめてみたり。
あぁ、季節は飲水量の減りやすい冬・・・これはおしっこが詰まった可能性大!
ろくちゃん、すぐに導尿処置をされることになりました。

おとなしい子は麻酔を使わないこともありますが、やんちゃんなろくちゃんは鎮静の注射をしてから処置へ。
IMG_0151IMG_0146こんな顔をしてぐーぐー寝ている間に、尿道にカテーテルを通す処置をしていきます。
ろくの場合、もう入口から白い砂のようなものがじゃりじゃり・・・
それによって塞がれてしまった尿道を、潤滑剤と生理食塩水を流しこみながら、膀胱までカテーテルを挿入していきます。
そして膀胱まで到達すると・・・

IMG_0150出ましたー!
膀胱いっぱいにたまっていたおしっこがたくさん。
尿道が詰まってから長時間放っておくと、血尿や膀胱炎になっていたり、腎臓への障害が出たりします。
静脈点滴が必要になることもありますが、ろくは早期発見、早期処置ができたので、抜いたとたんに元気いっぱい!
単純に詰まったことによる疼痛で元気、食欲がなかっただけでした。


IMG00132
ろくのおしっこを顕微鏡で見ると何とも美しい結晶が!
若い猫ちゃんの尿石の原因で最も多い、ストルバイト結晶です。

 

このような結晶の原因はミネラル(特にマグネシウムやカルシウム)の過剰摂取や尿のphが上昇すること、さらに飲水量が減っておしっこが濃くなることで発症しやすくなります。
もちろん冬だけでなく年中尿石はできますが、最近のポックルには猫ちゃんだけでなく、わんちゃん、モルモット、チンチラ、フェレットなど尿石の患者さんの来院や手術が続いています。
尿石症は尿道に詰まっておしっこが出なくなるだけでなく、膀胱の中に石を作ると手術で取り出さなければならないこともある大変な病気です。
そして動物にとってもとても痛くて辛い病気です。
ろくちゃんのような症状を見かけたら、すぐに病院に連れていってあげてくださいね。

この記事を書いた人

獣医師 伊村晶子
皮膚科認定の資格取得に向けて勉強中。子供たちに命の大切さを伝える活動もしています。ポックル動物病院も私自身も、動物と飼い主様のお力になれるようずっと成長し続けていきたいと思います。

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