トップ画像で驚かせてすみません。
開業した直後の写真です・・・自分で見ても、「誰?」っていうくらい顔が丸いですね・・・。
さて、今回はいつもの患者さんのお話ではなく、
何で獣医さんになったんですか?という、普段言う機会もなければあまり聞かれる機会もない事を、敢えてブログにしたいと思います。
実家に帰らせてもらったときにふと昔の事を思い出したのと、
獣医さんになりたいです!と言ってくれる飼い主さんのご家族にお会いしたので、書いてみることにしました。
実は、「獣医師になろうかな」と思ったきっかけは、中学生の頃に買っていた猫が、幼くして治らない病気で亡くなってしまった事でした。
初めは、小学生だった私と弟が、帰宅途中に野良猫につきまとわれる事から始まりました。
その子は家にまで着いてきて、「絶対にダメだ!」という父の言葉にもめげず、お百度参りのごとく家に通うようになりました。
最後には母、父の順に折れて、晴れて猫を飼う事になりました。
ただ、問題はその子がふといなくなった後、お迎えしたネコちゃんでした。
まだまだ幼い、子猫だったその子はある日急に具合が悪くなり、近くの先生に診てもらいました。
しかしお薬をあげてもただ涎を垂らして嫌がるだけで、具合が悪くなってからすぐになくなってしまいました。
そのときは、目の前で失われようとしている命に対して無力な自分がただ悲しかった。
眼を腫らして数日間学校に通っていた事を覚えています。
友人達にも「どうした?」と聞かれるくらい、落ち込んでいました。
それからすぐに獣医になろう!と思っていたわけではなく、
高校生になり、進路を考えていたときに、ふと自然に思いだして決めた感じ・・・「腑に落ちる」といった感じだったかもしれません。
獣医師、というのは実はすごく色々なところで活躍している職業です。
動物病院や動物園、牛や馬などの大動物診療所はもちろん、食肉検査所や保健所、製薬会社や研究施設など。
実は大学の卒業するまでは、大動物診療の道に進もうかな、と考えていたのですが、
実習で小動物の病院を見学させてもらっているうち、中学生〜高校生の頃の気持ちを思いだし、小動物の道に進む事にしました。
幸運な事に、お世話になった動物病院さんでエキゾチック動物たちの診療に多く携わらせて頂き、もっと診療レベルを上げたい!と思うようになりました。
それが、今のポックル動物病院になる大きなきっかけだったと思います(写真はその頃の若い私と愛猫とらえもん)。
そんなポックル動物病院も、飼い主さん達、スタッフ達のお陰で、開業から六年。
想像していたより、遥かにたくさんの動物たち、飼い主さん達と出会う事ができました。
「人生無駄な事なんて一つもない」とか言いますが。
あのとき、小学校から帰る時に野良猫ちゃん(ごまちゃん、と命名しました)に出会わなければ。
あのとき、お迎えした子猫ちゃん(ももちゃん、と命名しました)が病気にならなければ。
就職させてもらった動物病院さんに、友人のススメで見学実習の電話をしなければ。
そう思うと、今当院があるのは、信じられないくらいの確率なんじゃないかな、と思うのです。
初心忘れるべからず、という言葉があります。
何故、中学生だった私はあんなに悲しかったんだろう、と考えると、
動物が苦しんでいるのに自分が何も分からないがゆえ、何もできず、実際に何もその子の苦しみを取り除いてあげられなかったからだと思います。
あのときの自分の悔しさ、悲しさを飼い主さん達に味わって欲しくない。
そのために私ができるのは、「できる限り私の頭の中身を見えるようにして、飼い主さんに最大限分かってもらう」事。
飼い主さんに理解・納得してもらってうえで、一緒に最大限の治療をしていきたい、というのが私たちの考える動物病院のあり方だと思っています。
本音を言えば、「俺に任せろ!」みたいなカリスマ獣医師に憧れる気持ちもあります。でも無理です(笑)。
来年移転を控えてはいますが、初心忘れるべからず。
中学生の私の様な悲しい思いをできる限りさせないよう、
私は私の理想である、「最高に説明が分かりやすい」治療のパートナー、という姿を追い求めて頑張って行こうと思います。
この記事を書いた人
- 動物病院は、飼い主様と一緒に、大切な家族である動物たちの幸せを考え、不安や苦しみを解消する場です。検査もただ行えば良いという訳ではありませんので、必要な理由をきちんとご説明した上で進めていきます。筋道を立て、とにかく分かりやすく説明する事には特に力を入れています。
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