急に寒くなり毎日でも鍋が食べたい獣医師榮藤です。

今回はモルモットの眼に関わるお話です!

◎こんな症状ありませんか?

  • 白目と黒目の境界近くに、白色ののっぺり・モヤモヤとした不透明なものが見える
  • 黒目が白く縁取られている

モルモットの眼にみられる白い骨様の病変は、異所性骨形成(heterotopic bone formation)と呼ばれます。骨様分離腫という名前でも呼ばれており、多くの文献ではモルモットの眼にみられる同様の病変を指す同義語として併記されています。
厳密には、骨様分離腫は病理学的名称です。「分離腫」とは、本来その場所に存在すべきではない正常な組織が、腫瘤(しこり)のように形成される状態を指します。

◎異所性骨形成って何?

眼内の虹彩基部から前房の前面に沿って骨組織ができる病態です。
できたものは単なる石灰化(カルシウムの沈着)ではなく、骨細胞や骨芽細胞を含む成熟した骨組織です。
異所性骨形成や石灰化は健康な組織に発症し、モルモットの眼以外の様々な部位においても通常認められます。
そのうち眼における症状はモルモットでは比較的特徴的にみられますが、他の動物ではまれとされています。

◎どんな子に起こる?

発症は高齢に多い傾向がありますが、性別による差は確認されていません。
また、片側性・両側性のいずれも報告があります。

実際に、私が以前飼育していたモルモットでも両眼・全周性に発生していました。(オス、4歳頃~)
CTを撮影すると、ちょうど白く変化している部分がリング状に確認され、骨化している様子がよく分かります。

◎原因は?

いまだにはっきりとした原因は分かっていません。提唱されているメカニズムとしては次のようなものがあげられます。

①先天的な発生異常
②過去の眼科疾患や組織変性に続いて起こる変化
③ ビタミンCが局所的なカルシウム構築の原因となっている可能性

特に③について、通常眼の毛様体という部位は眼房水(眼内を満たす液体)内にビタミンCを分泌しており、レンズ内に高濃度のビタミンCを保持することで潜在的に白内障の発症を予防していると言われています。一方で、この毛様体は角膜の辺縁部にあり、ここでの高濃度のビタミンCがカルシウム沈着の一因となることで異所性骨形成の原因となっている可能性が検討されています。

※しかしモルモットは体内でビタミンCを合成できないため、食事で制限することは推奨されません。
また一般的な飼育下で摂取されているビタミンC量では過剰となることは考えづらいため、異所性骨形成予防のためのフード変更は推奨されません。

◎治療は?

まず知っておいていただきたいのは、一度形成された骨組織が、元の状態に戻ることはないという点です。
そのため、明らかな視力障害や眼圧上昇がない場合は、定期観察が基本となります。定期的な眼科検査で、病変の進行状況や合併症の有無を確認していきます。
この病変ができる部位周囲には、眼房水の出口があります。骨形成が進行してこの出口が塞がると、眼内の圧力が上昇し、二次性緑内障、視神経障害、慢性角膜炎などを起こすリスクがあります。
これらの異常が確認された場合には、それぞれの状態に応じた治療を開始します。

◎「眼が白い」=同じ病気ではない

ここまで異所性骨形成のお話をしましたが、「眼が白い」といっても、白くなっている場所によって原因となる病気は異なります。治療法もそれぞれ異なるため、自己判断は避け、動物病院での確認が大切です。
「眼が白い」と表現されやすい病気には、次のようなものもあります。

  • 角膜潰瘍・角膜炎:角膜(眼の表面)が白く濁ります。痛み・涙・目ヤニ・目を開けないなどの症状を伴いやすいです。
  • 白内障:水晶体(眼の中のレンズ)が白く濁ります。

モルモットは目に異常があっても、痛みをあまり示さないことがあります。そのため、「いつもと違うな」と感じたら、様子を見ずに一度動物病院へ相談することが大切です。
眼の病気の中には、放っておくと視力低下や失明につながるものもあります。
日常のちょっとした気づきが、早期発見につながります。気になる症状があれば早めにご相談ください。

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