尿は健康のバロメーター?!

毎年この時期は桜スイーツを追い求めて歩き回る、獣医師榮藤です。

今回は動物病院で行う検査のひとつ「尿検査」の紹介をします!
尿検査は健康診断の一部として、また、疾患のため定期検査を受けている患者様もいらっしゃるかと思います。
飼い主様の中には「尿検査ってどんなもの?」「尿ってどうやって持って行ったらいいの?」という疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

そんな飼い主様に、病院で実際にどんな検査が行われているのか、2回のブログに分けて詳しくお話していきます!
少しでも検査を身近に感じてもらい、また重要性を理解していただけたら嬉しいです☆

◎尿検査って?
尿の見た目や成分から、健康状態のチェックや、疾患の有無を調べる検査です。
膀胱炎や腎臓病といった泌尿器疾患はもちろん、糖尿病や肝疾患、ホルモン性疾患の発見や経過確認のために実施します。

◎どんなことが分かるの?
まずは見た目から分かる情報です。色調、臭気、透明度を確認します。
また、比重といって尿の濃さを測定します。例えば、腎機能の低下により尿を濃縮できなくなると薄い尿となり、尿比重は下がります。飲水量が少ないと濃縮された濃い尿となり比重は上がります。

尿比重計です

続いて「尿試験紙」を用いて化学的な性状を調べます。
尿試験紙には以下のような項目があります。
・ブドウ糖:血液中に通常よりブドウ糖が多く存在する場合、尿中に出てくることがあります。糖尿病や急性膵炎の指標になります。
・尿蛋白:通常は腎臓でろ過されず尿中に出てくることはありませんが、腎疾患などで陽性になることがあります。
・pH:尿が酸性なのかアルカリ性なのかを示します。通常犬猫では弱酸性~中性ですが、結石の有無などによっても程度が変化します。
・潜血:尿に血液の成分が混ざっているかを確認します。
・ビリルビン、ウロビリノーゲン:肝胆道系疾患の有無の指標になります。
・ケトン体:脂肪の代謝に関与する物質です。食欲不振の際や糖尿病の治療中に確認することがあります。
また、尿蛋白の測定では尿試験紙の結果を受けて、尿中に漏れ出ている蛋白が有意なものか判定するため、UPCという指標を併せて測定することもあります。
※エキゾチックアニマルさんでは基準となる値が異なることがあります。

尿試験紙です

その後、尿を機械で遠心分離し、沈殿した成分を顕微鏡で観察します。
ここでは肉眼では見ることのできない血液細胞や結晶、細菌の有無を確認します。

尿の沈殿を観察する際には顕微鏡を使用します

いかがでしょうか。スタッフにお渡しいただくペットさんの尿、院内ではどんな検査が行われているか、少しずつ見えてきましたか?
こんなにたくさんの情報が得られる尿検査ですが、正確な検査結果を得るためには飼い主様の協力も必要です!

・液体の状態でご持参ください。

・朝一番の尿で採取をトライしてください。

・異物などを含んでいない尿を採取してください。

・採尿後は出来るだけ新鮮なうちにご持参ください。できれば3時間以内が理想です。

・ご来院までに時間がかかる場合は一度冷蔵保管してください。

以上の点を守っていただくとよりよい結果につながります!


「いやいやそれ以前に、採尿が難しいんだよな~」分かります、飼い主様からもよく伺うお悩みです。
こちらは次回のブログで詳しくご説明させていただきます!

この記事を書いた人

獣医師 榮藤
ハムスターを飼っていたことから、エキゾチックアニマルの診療を行う獣医師になりたいと考えるようになりました。大学在学中にはすっかりモルモットの虜となり、現在は2匹のモルモットとともに暮らしています。
動物たちと飼い主様に寄り添う獣医師になれるよう、日々精進してまいります。

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