飲み込んだおもちゃ、どうなるの?

いよいよ来週日曜、3月4日は開院3周年イベントです。(この日は休診になります。)猫セミナーもハリネズミセミナーも残り数席、空きがありますので参加希望の方は早めにご予約くださいね!
さて、1歳児と2歳児の育児中の伊村です。
人も動物も特に赤ちゃんに多いのが異物誤嚥事故。
母親教室では、トイレットペーパーの芯を使って『この筒を通過するものは赤ちゃんが口に入れて飲み込む可能性があるので与えないようにしましょう』なんて指導されたりします。犬も猫も特に乳歯の生え変わる子犬期、子猫期に遊び食べしてしまうことが多いので、小さなおもちゃには注意が必要です。

先日来院した猫のラーナちゃん。もう7歳で飼い主さんも何か食べた心当たりはないとおっしゃっていたのですが、実はいつの間にか小さなネズミのおもちゃを飲み込んでしまっていたのです。
するとどうなるのでしょうか・・・
飲み込んでしまったとも、ここが痛いとも言ってくれない動物の診断は簡単ではありません。
前日から食欲がなく、ずっと吐いているということでの来院。
お腹の触診をするとなんだか怪しい塊が…そして血液検査、超音波検査。
(さらに造影剤を飲んでもらってのレントゲン検査をすることもあります)
こうして異物が十二指腸を閉塞している可能性が高く、手術でしか治療できないと判断。
点滴を充分した上、夜間での手術となりました。
飲み込んでからの時間がたつほど、全身状態が悪くなって麻酔のリスクが高まったり、腸管が破裂して腹膜炎や癒着を起こしているケースもあるのですが、今回はスムーズに腸管を切開しておもちゃを取り出し、手術を終えることができました。
 

写真のようにネズミの面影は全くなく・・・2cmちょっとの塊が取り出されました。

もちろん手術を終えたらすぐ帰れるわけではありません。翌日までは鎮痛剤入りの点滴を続け、抗生剤や整腸剤での治療が続きます。縫われた腸管にいきなり食べ物を通過させることはできないので絶飲絶食です。傷や点滴をなめないよう首にはネッカーをつけての入院生活です。
手術後3日目、点滴を続けながらも夜からお水を口から少し、吐かないことを確認。4日目に流動食を少し。
ラーナちゃんの場合、本人は食欲旺盛でしたが、量は少しずつ様子をみて増やしていきます。

こうして7日目で無事に退院することができました。
さらに1週間たった先日、元気な姿で抜糸にきてくれてネッカーともお別れです。

犬猫の異物で特に注意が必要なのが、ひも状のものや中毒性のあるもの。
特に猫ちゃんは紐付きのおもちゃが好きな子も多いと思いますが、それが腸管までいくと大変!紐によってたぐりよせられた腸管はアコーディオン状にぐちゃぐちゃになって腹膜炎をおこしたりしてして何倍も複雑な手術になります。また毒性のあるものだと時間との勝負になることがありますので、気づいたらすぐ受診してくださいね。
特にわんちゃんはまだ胃にあるうちなら注射で吐かせることができるケースも多いです。
子犬、子猫、子フェレットだけでなく、動物はいつでも飲み込んでしまうものだということを意識して事故を防いであげましょう!

この記事を書いた人

獣医師 伊村晶子
皮膚科認定の資格取得に向けて勉強中。子供たちに命の大切さを伝える活動もしています。ポックル動物病院も私自身も、動物と飼い主様のお力になれるようずっと成長し続けていきたいと思います。

関連記事

  1. イベント開催します☆

  2. 猫ちゃんの痒み

  3. 冬、猫ちゃんに多い病気

  4. 札幌夜間動物病院の内覧会に行ってきました

  5. うちのコ風邪かな?と思っても・・・

  6. 猫ちゃん、ホテル満喫中

最近の記事

PAGE TOP