胆嚢破裂の手術

ものすごい寒波がやってきていますね。
そんな朝は一歩も外に出ず、暖かいコーヒーを頂きながらのんびりと朝食を・・・
と、いきたいところですが院長、大体7時頃から必死で除雪しています。
(もちろん駐車場全部ではありません。スタッフさんとの分業です)
休日は最高の雪でスキーができるんですが、さすがに毎日除雪ともなると多少げんなりしますね。

さて、今回はお正月に調子が悪くなってしまったトイプードルの柊くん。
数日前から急に元気と食欲がなくなり、お腹が張っていると来院されました。
わんちゃんがお腹を引くような姿勢で、呼吸が速い場合には重度の腹痛があるとき。
レントゲン検査をしてみると、お腹全体がぼんやり白くなっています。追加で超音波検査を行うと、お腹の中に液体がたまっている事が分かりました。

腹水がある場合、原因を追及する事が重要。IMG_0930
腹体の検査で、「胆汁性腹膜炎」を起こしていることが分かりました。
エコー検査から、胆嚢が破裂して胆汁がお腹の中に漏れ出していると考えられたため、即日手術を実施しました。

お腹を開いた所、腹水の中に胆嚢がみられます。
この内部には硬いゼリー状の構造物が沢山詰まっており、胆嚢粘液嚢腫という病気で胆嚢が破裂した事が明らかになりました。

胆嚢を周りの組織から慎重に剥がしていった画像がこちらです(このときには胆嚢の内容物は吸引除去しています)。IMG_0931
矢印の部分に大きな穴が空いていますね。

この部位を切除する前に、チューブを挿入して本来の胆汁の流れる管(胆管)を洗浄したのち、根元で結紮して胆嚢を切除します(右写真)。
あとはひたすらお腹を綺麗に洗浄して、手術終了です。IMG_0932

胆嚢破裂の手術は、死亡率が高いことが分かっています。
そんな中、柊ちゃんの術後の経過は非常に順調でした。
手術翌日からご飯も食べ始め、日に日に元気になって無事退院となりました。
トップ画像は再診に来てくれた時の写真で、いつもと変わらないほど元気とのことでした。

さて、今回の元凶となった「胆嚢粘液嚢腫」という病気、残念ながら血液検査だけでは分からない疾患です。
しかも破裂するまでは全くの無症状で、突発的に破裂し今回のような急変をしてしまいます。

中高齢になると、腫瘍を含めた様々な病気が増えてきます。
そのためエコー検査やレントゲン検査を含めた健康診断は、せめて年2回は受けていただきたいと考えています。

4月からは春の健康診断も始まります。
今年はどうしようかな〜、と悩まれましたらお気軽にスタッフに相談して下さいね!

この記事を書いた人

院長 伊村啓
院長 伊村啓
動物病院は、飼い主様と一緒に、大切な家族である動物たちの幸せを考え、不安や苦しみを解消する場です。検査もただ行えば良いという訳ではありませんので、必要な理由をきちんとご説明した上で進めていきます。筋道を立て、とにかく分かりやすく説明する事には特に力を入れています。

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