子宮蓄膿症の治療 Polly’s treatment with pyometra

今日のトップ画像は子宮蓄膿症を乗り越えたポリーちゃんの写真です。
何という犬種か、想像つきますか?
ポリーちゃんは『スタッフォードシャーブルテリア』というイギリス原産の中型犬。日本での飼育数は多くないため私も初めてお目にかかったのですが、堂々したかっこいい見た目とちょっとギャップのある優しく甘えっ子な性格の子でとても賢そうでした。そして飼い主さんもイギリス出身の方、なんとはるばるニセコから2時間以上かけて来院してくれました。
さて、今日はわんちゃんに多い子宮蓄膿症という病気の紹介から。文字どおり、細菌感染により子宮に膿が溜まってしまう病気ですが、未避妊のわんちゃんの3匹に1匹はかかるという発表もあるくらい多い病気です。
わんちゃんの子宮は発情終了後に感染しやすい環境となり、細菌感染がおこると急速に膿が溜まり、症状が出た時には全身に菌が周って敗血症になることもある怖い病気です。よく見られる症状は、元気消失、食欲不振、多飲多尿、嘔吐などで重症化するとショック症状となり死亡するケースもあります。
治療は手術で感染した子宮も卵巣も摘出することですが、術後も敗血症や他臓器への影響を評価し、入院での内科治療が必要です。

さて、ポリーちゃんも症状がでた翌日の来院でしたが、すでに白血球数やCRP値から感染の重症化が確認されました。元気も食欲もなく、水を飲むということでしたが比較的、全身状態はよかったので即日の手術となりました。子宮には膿が溜まっていたので、そーっと取り出し、無事に手術を終えました。
そこから内科治療が始まりましたが、ポリーちゃんは腎不全はすぐに改善したのですが、抗生剤を使っても感染の指標となるCRP値がなかなか下がらず、術後4日間の点滴治療を続けることになりました。術後3日近くは各種ドライフード、缶詰、どんなご飯も受け入れてくれませんでしたが、4日目から食べるようになり、外に排泄に行くとぐいぐい引っ張る元気も出てきたのでようやく退院!遠方の方なので、抜糸は地元でやってもらうことになりましたが、抜糸後の元気そうな写真も送ってきてくれました。
子宮蓄膿症は中高齢に多い病気ですが、まだ3歳のポリーちゃん、これからも長生きしてご家族と幸せに暮らせますように!

Can you tell the breed of the dog in this photo?
Stafordshire Bull Terier is a British breed of middle sized dog.They looks cool but are considered loyal and affectionate, so all of our staff loved Polly.
She came from Niseko with English owner because she had been diagnosed with pyometra.
Symptoms were loss of enegy and drinking a lot of water, started day before.
We did an ultrasound test to check the condition of uterus, and blood test to check her general condition.
Fortunately all result was good and stable, we decided to undergo surgery to remove infected uterus immediately.
It was same procedure with Spay but much more difficult and high risk because uterus swell as balloon with a lot of pus.
After surgery, we had to be careful about renal damage and sepsis, so gave an intravenous therapy for 4days.
She didn’t eat anything and laid down the next day after surgery,but she got better day by day.
She gradually opened her mind and she always shook her tail when we came close to take care.
We did blood test every day to assess recovery, she was able to recover slowly but smoothly.
She finally went back her home at 5th day passed after operation, and she looked very happy.
I was very happy to see the photo that the owner sent me after removed suture.
I hope she can live happily with her family for a long time!

この記事を書いた人

獣医師 伊村晶子
皮膚科認定の資格取得に向けて勉強中。子供たちに命の大切さを伝える活動もしています。ポックル動物病院も私自身も、動物と飼い主様のお力になれるようずっと成長し続けていきたいと思います。

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