動物の皮膚糸状菌症(真菌感染症)の検査

こんにちは獣医師の向田です。
最近は急に寒くなり冬がだんだんと近づいてきているなと実感しますね。皆様体調は崩されていませんか?
北海道ではまたコロナウイルスの感染者数が増加傾向にあり心配ではありますが、当院では感染症対策に努めつつ診察を行っております。

今回のブログでは『皮膚糸状菌症』という皮膚の真菌性病変の検査方法について書かせていただきたいと思います。
実は真菌性の皮膚病は犬、猫だけではなく、うさぎ、デグー、モルモット、チンチラ、ハリネズミなどのエキゾチックアニマルでもよく見られる病気です。
また人に感染しうる菌種もいるため、注意が必要な病気です。

以前のブログにも書かせて頂いたのですが、当院で飼育しているデグーのコロちゃんも真菌に感染して鼻の頭が円形脱毛したことがありました・・・
その時のブログはこちら

症状としましては
・白いフケのようなものが体に付着してる
・脱毛している(ハリネズミの場合針が抜ける)
・痒がっている

といったものが主に挙げられます。
通常では確定診断がついてから抗真菌薬の処方をして治療を開始します。
今までは診断を付けるまでには脱毛部のフケや毛を採取して真菌を培養するという培養検査でしか確定診断が出来ず、検査結果が出るまでに長いと2週間ほどかかってしまう事もありました。

真菌培養検査では真菌に感染している場合、写真のように動物の脱毛部分の毛やフケを植えた培地が1週間から2週間程度でオレンジ色から赤色に変色します。

 

真菌の検査方法にはほかにウッド灯というライトを使う検査方法や、毛を顕微鏡で見る検査方法もあります。
今までは当院には簡易なウッド灯しかなかったのですが、ついに最新のLEDウッド灯が導入されました!

ウッド灯を脱毛部に充てると真菌がその部分に存在する場合、緑色に発光します。

しかしウッド灯にも欠点がありましてすべての真菌に対して感受性があるわけではなくMicrosporum canisという皮膚糸状菌の一部の株はウッド灯に陽性を示さない(発光しない)とも言われています。またつまりMicrosporum canis感染その他の真菌感染がある場合には陰性を示すため、これだけで確定診断には至らず、実際には真菌培養検査と併用して検査を行う事が多いのが実情です。

しかし今までは飼い主様に培養検査の結果が出てからお薬を後日取りに来ていただいていましたがウッド灯検査は光を当てるだけで簡単に真菌の感染があるかどうかを判断する事が出来るため、陽性を示した場合診察を受けて頂いた当日にお薬を処方する事が出来るというところが優れている点です!
また真菌の治療には数カ月にわたる長期間の治療が必要になることもありますが、治療の評価にもこのウッド灯は有効活用されています。

脱毛し始めている、フケが多い、痒がっているという症状がある場合は原因としては多数(細菌感染やホルモン関連性など)ありますが、もしかしたら真菌が原因かもしれません。気になる方は是非一度ご相談くださいね!

この記事を書いた人

獣医師 原田
獣医師 原田
エキゾチックアニマルが病気になってしまった時に相談できる動物病院がとても少ないことを実感したことが、エキゾチックアニマルの診療を行う獣医師になろうというきっかけです。飼い主様が問題に直面して時に気軽に頼ってもらえる獣医師になれるよう日々勉強中です!

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