動物の味覚について

こんにちは獣医師の向田です。今年もあとわずかになりました!これからクリスマス、お正月と行事ごとがつづいておいしいものを食べる機会が増える時期ですね。人間にとっておいしいものって犬猫にとってもおいしいものなのかなと考えたことがある方も多いのではないでしょうか? ということで今回は「味覚」について書きたいと思います!

人の味覚には、甘味、塩味、酸味、苦み、うま味の5つがあるといわれています。
これらの味は主に舌に存在する「味蕾」と呼ばれる味細胞の集合体によって感知されます。
味蕾は玉ねぎのような形をしており、この味蕾が多いほど味覚をより感知する能力が高いといえるそうです。

猫や犬ではこの味蕾の数は人間よりも少ないのですが、豚や牛などの草食動物は人間よりも多いようです。牛やブタの方が鋭い味覚の持ち主というのは少し意外ですね!
犬猫では「味を感じる能力」は人よりもやや劣っているということですが、感じる味覚の種類に関してはどうでしょう。

犬が感じる味の種類は人間が感じる味の種類からうま味を除いた甘味、塩味、苦味、酸味の四つだといわれています(近年の研究では犬もうま味を感じるという説が有力になってきてはいるようです)。この中でも最も敏感に感知できるのは甘味(果物の甘味や、肉類に含まれるアミノ酸を甘味と感じるようです)で、次いで酸味、苦みと続き一番鈍感なのが塩味です。塩味に関しては本来犬が必要とする塩分量は生肉中に含まれる量で十分であるため、あまり発達しなかったと考えられています。

犬用のおやつを食べてみたことがあるというかたもいるかと思いますが、その時におそらく塩味はほとんど感じなかったのではないでしょうか?私も犬用のジャーキーを少し食べたことがありますがほとんど塩味はなく犬にとっておいしいのかな?と思っていましたが、塩味に鈍感で肉や果物の甘味に敏感ということで犬用のおやつは犬がおいしく食べられる味のバランスになっているんだなと感じました。また塩味に鈍感であるためかなり塩分の多いものでも大量に盗み食いしてしまう…ということもあるので注意したいですね。

犬は甘味を好むということで、飼っているわんちゃんの食欲があまりない時には犬が好む「甘味」であるアミノ酸を多く含んだヨーグルトやお肉を普段食べているフードに加えてみるのも良いかもしれませんね!

では猫に関してはどうでしょうか。
猫は犬よりも感じられる味の種類が1つ少なく、塩味、苦み、酸味の3つを感じることができるといわれています。(うま味を感じられるという説もあるそうです)

猫でも犬と同様に塩味に対しては鈍感で、苦みや酸味に関しての方がより敏感に感じ取ることができます。
酸味や苦味を感じる能力の方が発達しているのは腐ったものでは酸味が、毒性の強いものに関しては苦みが強いものが多いため食べられるものかどうかを判断するためだといわれています。猫を飼っている方の中にはうちの子は生クリームとか甘いものを好んで食べるけど…という方もいるかと思います。それはどうやら味が好きというよりは臭いや食感を好んでいる食べているようです。

犬も猫も味覚は人間の5分の1程度とあまり優れてはいませんがその代わり嗅覚がとても優れているため、食べ物を選ぶ際にも嗅覚にたよって選ぶことが多いようです。
いかがでしたか?
年末年始、美味しい物を動物にもおすそわけしたくなるかもしれませんが、動物の身体にいいものだけを食べさせてあげてくださいね!

この記事を書いた人

獣医師 原田
獣医師 原田
エキゾチックアニマルが病気になってしまった時に相談できる動物病院がとても少ないことを実感したことが、エキゾチックアニマルの診療を行う獣医師になろうというきっかけです。飼い主様が問題に直面して時に気軽に頼ってもらえる獣医師になれるよう日々勉強中です!

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