マラセチアって何?わんちゃん皮膚病シリーズ

久しぶりの皮膚病ブログです!
わんちゃんの飼い主さんでマラセチアという言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?
「お耳が痒くて病院にいったらマラセチアと言われた」
「体を痒がっていて検査したらマラセチアと言われた」
当院にもこのような稟告で来院する子がよくいらっしゃいます。
マラセチアって一体ナニモノ?どこからくるの?薬で治るの?
よく聞かれるこんな疑問にお答えしていきたいと思います。

まずマラセチアというのは、動物の皮膚に常在している酵母様真菌(カビの仲間)です。
健康なわんちゃんの皮膚にも少数ではありますが、存在している常在菌です。
しかし増殖しすぎると痒みや赤み、ブツブツがでたり、臭いがきつくなり、さらに放っておくと脱毛したり皮膚が厚くなって色が黒くなったりしてしまいます。
マラセチアの特徴は、ベタベタが大好き!ということ。
皮膚から出るアブラ(皮脂)を食べて生活しているので、ベタベタがいっぱい溜まる所に増殖しやすいのです。
例えば、耳垢たっぷりの耳の中、シワになってべたつく皮膚の溝の中、手足の付け根の擦れる所、パッドの間なんかにも皮膚炎を起こすことがあります。

犬種では、ウェスティ、コッカ―スパニエル、シーズー、チワワ、プードルなど。あとシワになる部分が多い、パグやフレンチブルドッグも要注意です。

マラセチアかもと思ったら、その部分にスライドガラスをあてて、染色液をのせて待つこと約5分。
トップ画像のような3~5μmの小さな青い雪だるまさんが見つかったら、それがマラセチアです!

治療には部位や程度によって変わってきますが、基本的にはマラセチアに有効な抗真菌薬が使われることが多いです。抗真菌薬には、シャンプーや塗り薬、点耳薬、全身的な場合は内服薬などがあります。

多くの子が薬で皮膚症状が改善しますが、お薬をやめると再発してしまう子も。
「マラセチア皮膚炎」「マラセチア性外耳炎」と聞くとマラセチアがいなくなれば治るように思うわれがちですが、実はマラセチアは増悪因子でしかなく、主な原因が他にあることが多いからです。
つまり主な原因への治療をしなければ再発を繰り返すので、マラセチアがいなくなっておしまいではなく、原因を探して治療していく必要があります。
例えば、アトピー性皮膚炎、ホルモン異常(甲状腺機能低下など)、脂漏症、免疫が低下する病気などがないかチェックして同時に治療していきます。
基礎疾患や体質として再発を繰り返すこともありますが、わんちゃんにも飼い主さんにもストレスなく付き合っていく方法を探していくことがゴールになることもあります。
わんちゃんの皮膚病、お悩みの方はご相談くださいね。皮膚ブログもまたアップしていきますのでよろしくお願いします!

この記事を書いた人

獣医師 伊村晶子
皮膚科認定の資格取得に向けて勉強中。子供たちに命の大切さを伝える活動もしています。ポックル動物病院も私自身も、動物と飼い主様のお力になれるようずっと成長し続けていきたいと思います。

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