カメの甲羅の異常、見落とさないで!

ようやく涼しくなってきました。
暑い夏には正直うんざりしていたところではありますが、根は本州人の院長は夏が短すぎて少し残念な気持ちでいます。

さて、今回は知ってるようで知らない、カメの甲羅の病気について。

カメの甲羅は、外側から順番に、「甲板」「骨膜」「骨」という3つの構造で構成されています。
特に背中側の甲羅(背甲)は、肋骨や脊椎とくっついています。
つまり、他の動物でいうところの「皮膚」「骨」「肋骨」「脊椎」が、全てくっついているような構造である、といえますね。

そこで。このカメさんの甲羅を見て下さい。

この甲羅が異常なことは分かりますでしょうか?頂点が突出しており、甲板一つ一つがいびつな形になってしまっています。また背中側の甲羅(背甲)の端はそりあがってしまって、帽子のようになっています。

何故このようなことになってしまったのでしょうか。

答えは、「乾燥」、です。

水棲のカメを、水に長時間入れないで生活させてしまうと、乾燥することにより正常な甲羅の成長ができなくなってしまうのです。半水棲のカメさんを飼育されていて、水の深さが十分で無い場合は、甲羅のてっぺんだけが乾燥して変形することもあります。
ミドリガメやクサガメは、泳ぎが得意なカメさんです。十分な水深を保つようにしてあげてくださいね。

次はこちらのカメさん。
甲羅に一部、白くえぐれたような部分がありますよね。

これは甲羅の細菌感染による症状です。

治療では、抗生剤や消毒液を使用して、さらに短時間甲羅を乾燥させてあげる事で、細菌繁殖を抑えていきます。
こちらも、あまり長期間放置してしまうと、一番身体の外にある「甲板」だけでなく、その奥にある「骨」まで感染が進行してしまう事もありますので注意が必要です。

ひどくなると甲板の広範囲が脱落して、骨が露出してしまうような状態になる事もあります(左下写真)。


甲板の下にある、骨が露出しているのが見てとれます。
どちらのカメさんも、感染した組織を除去して、消毒と抗生剤を投与して、完治してくれました。

ただ、完治といえども甲羅が元通りになる訳ではありません。
無くなってしまった甲板はそのままになってしまうし、潰瘍になった甲板の部分は傷跡が残ります。

たかが甲羅、と考えないで下さい。
甲羅にでているちょっとした異常が、今後大きな問題に繋がってくる可能性もあります。
あまりに重く考えすぎるのも良くないですが、気になったら是非、ポックル動物病院まで相談に来て下さいね。

 

この記事を書いた人

院長 伊村啓
院長 伊村啓
動物病院は、飼い主様と一緒に、大切な家族である動物たちの幸せを考え、不安や苦しみを解消する場です。検査もただ行えば良いという訳ではありませんので、必要な理由をきちんとご説明した上で進めていきます。筋道を立て、とにかく分かりやすく説明する事には特に力を入れています。

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