カメの災難物語(手術画像あり)

ポックル動物病院ではカメの診療をお受けしています。
これまでにも、クサガメ、ロシアリクガメ、キミミガメ、アカミミガメなど、様々なカメがやってきました。
年齢も手にひらに乗るサイズの子から、20歳超えのずっしり大物まで。
正直なところ、札幌近郊にはこんなにもたくさんのカメがいたのか!と驚くくらいです。
さて今週はちょっと重症のクサガメ、カメくんがやってきました。
飼い主さんが帰宅して水槽を見ると、足がちぎれて浮いており、水が真っ赤になっているとの事。
水槽内の岩で切ってしまったのかもしれないとのことで、とりあえず止血処置をしながら来院するようお願いしました。
そしてちぎれた足とともに連れてこられたカメくん。本当に痛々しくも左後足がぷつりと切れ、右前足にも深い傷が。。。kame ashi
押さえてもらっていたペーパーも真っ赤だったので、電気メスで緊急止血。この体重の他の動物ならとっくに失血死しうる出血量です。
どうしたものか・・・このまま塞ぐと傷口の細菌も中に閉じ込めてしまうことになるし、そもそもこれだけ弱って麻酔に耐えうるのか?
院長の判断で、数日入院して感染管理、脱水補正、保温をしてみて判断ということで、飼い主さんも同意してくれました。
そして3日後、あれほどの大量出血にしては元気そうなカメくん。傷口も感染しておらず。
しかし、骨がむき出しでは感染を起こしてしまうので、骨を切除して、切り口をなめらかにしたうえ筋肉と皮膚で覆うことになりました。
と、言うの簡単ですが、相手は体重145グラムのカメ。まず、麻酔中のモニターが充分にできません。そして呼吸してるかどうかがお腹の動きでは判断できないので、人工的に呼吸をさせつつ手術を行います。院長の指示のもととはいえ、麻酔管理を任される私としては、やはり緊張します。
before operationafter operation小さな骨を少しずつ整えて筋肉で包んで縫い合わせ、皮膚を縫って無事終了。
そして無事に退院して、お家で術後の飼育管理を続けてもらい、本日再診。
傷口は良好。元気も食欲もあるということで一安心。
手をかけた子の元気な姿を見ることができるのはこの上ない喜びです。
今後も水槽内の安全に気をつけて、飼い主さんの元で幸せに暮らせますように。

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この記事を書いた人

獣医師 伊村晶子
皮膚科認定の資格取得に向けて勉強中。子供たちに命の大切さを伝える活動もしています。ポックル動物病院も私自身も、動物と飼い主様のお力になれるようずっと成長し続けていきたいと思います。

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