うめきちくん闘病記

昨年10月半ばのある日、18歳のうめきちくんはぐったり横たわって来院しました。
いつも飼い主さんと一緒に寝ているうめきちくん。この年になるまで大きな病気は一切せずに元気だったのに、突然ごはんを食べず、元気もなくなったとのこと。
体温が35度しかなく、呼吸は速く、粘膜の色は白く、レントゲン検査をすると胸水と腹水がたまっていました。
すぐに胸水を抜く処置をして、ICUへ。心不全の疑いでそのまま入院となりました。
静脈留置をとって利尿剤等の点滴を続けると、まだ呼吸は苦しそうながらも顔をあげて少しごはんを食べるように。

8日間の入院の間、何度か胸水を抜く処置をして、ようやく飲み薬でコントロールできるようになり、無事退院!

ここからは飼い主さんが頑張る番。
まず心臓の負担を減らすお薬を、毎日2回飲ませなければなりません。一時期は3回だったこともありました。
さらに退院後しばらくは、おうちで維持できているかどうか、定期的に検査に通わなければなりません。
腎臓の数値も悪化がみられたため、フードは腎臓病の処方食に変えて負担を減らしてあげなければなりません。
腎臓病用のフードはどうしても美味しくない上に、具合が悪くて食欲もでないうめきちくんに、いろんなフードを試して、食べるものを工夫してあげてくれていたことと思います。

そして最終的には腎臓の病態が悪化し、皮下点滴も毎日してあげなければなりませんでした。
そんな治療生活が続くこと、8ヶ月。うめきちくん、19歳。
6月7日、うめきちくんの状態が悪い中出勤された飼い主さん。職場の皆さんに勧められ、早めに帰宅されたそう。
うめきちくんは帰宅の約1時間後、飼い主さんを待っていたかのようにおうちで息をひきとられたそうです。
その数日後。
飼い主さんはうめきちくんの写真つきラブレター(写真)を届けに、わざわざ足を運んでくださいました。

私たちはいろんな子の最期の場面に出会ってきましたが、ここまで責任をもって精一杯、治療をしてくれる飼い主さんは多くありません。
懸命な投薬のおかげで、うめきちくんはその後胸水に苦しむこともなく、飼い主さんと過ごすことができ、幸せな最期だったことでしょう。

うめきちくん、天国でもお幸せに!
スタッフ一同、うめきちくんとの出会いに感謝しつつ、心からご冥福をお祈りいたします。
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この記事を書いた人

獣医師 伊村晶子
皮膚科認定の資格取得に向けて勉強中。子供たちに命の大切さを伝える活動もしています。ポックル動物病院も私自身も、動物と飼い主様のお力になれるようずっと成長し続けていきたいと思います。

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