早いもので、年が明けてからもう1ヶ月が過ぎようとしています。お正月が終わったと思ったら、節分がすぐやってきますね!我が家は、北海道の多くのご家庭と同様、落花生をまくのですが、回収し損ねた落花生をわんこが食べてしまうといけないので、豆まき後は家族総出で豆探しです。思わぬ誤食、誤飲につながりますので、皆様もどうぞお気をつけてください!
さて今回は、比較的珍しい、潜在精巣の猫ちゃんに遭遇しましたのでそのお話を。
潜在精巣(停留睾丸、陰睾とも)とは、胎子期におなかの中にある精巣が、出生後に陰嚢内に降りず、おなかの中や鼠径部皮下、陰茎付近の皮下にとどまってしまった状態をいいます。
精巣下降が完了するタイミングは、犬では生後1〜2ヶ月、猫では出生時には完了しているとされています。ただし、犬種によってはもう少し遅くなることがあったり、精巣が小さすぎるとわかりにくいため、最終的な判断は一般的に去勢手術が行われる生後6ヶ月以降に行うことが多いです。
統計により差はありますが、発生率は犬で2〜10%、猫で1%程度と言われています。
また、潜在精巣は遺伝的要因があるといわれており、繁殖は推奨されません。
症例は、ラガマフィンという品種の猫ちゃん、生後7ヶ月の男の子です(写真の猫ちゃんではないです・・・)
生後5ヶ月のワクチン接種時の身体検査で、片方の精巣が陰嚢内に無いことが判明しました。この時の触診では、潜在精巣の位置がわからず、もう少し時間をおいてから再度チェックすることとなりました。
そして、生後6ヶ月での触診でもやはり潜在精巣の位置がわからず…ここで、超音波検査の出番です。
おなかの中にあったら、ちょっと厄介だな…と思いながら精巣を探していくと、右鼠径部の皮下に精巣を発見して、一安心。

↑右鼠径部皮下の潜在精巣
位置を確認して手術に臨みましたが、右の精巣は鼠径部の皮下脂肪のかなり奥にあり、ちょっと大変でしたが無事に手術を終えることができました。
潜在精巣の何が問題かというと、実は、短期的にはなんの問題もありません。しかし、正常な位置の精巣にくらべ、潜在精巣は将来的に腫瘍化する確率が高いことが知られており、犬では13倍というデータもあります。
最近は、1歳未満で去勢手術をするわんちゃんねこちゃんが多いのですが、もし潜在精巣をそのままにしていて中高齢以降で腫瘍化した場合、治療が困難になることもあるので、できるだけ早期の手術が望ましいと考えます。
思い当たることがある飼い主様、ご心配なことがおありでしたら、当院にご相談ください。
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出産を機に仕事から離れていましたが、また獣医師として動物と関われることになり、嬉しさと同時に身の引き締まる思いです。
動物と飼い主様の両方に寄り添った診療ができるよう、努めて参りますので、よろしくお願いいたします。
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