小鳥のクリプトスポリジウム症

最近寒くなってきたので、温かいモフモフな布団に替えた看護師の植松です。

今回のタイトルである「クリプトスポリジウム症」という病気を皆さんは聞いたことはありますか?

この感染症の病気は爬虫類や哺乳類でもみられるようですが、実は鳥さんも感染します。健康そうに見えても、体の中で静かに進行していることもあるので怖いですよね・・・!

そんな『鳥さんのクリプトスポリジウム症の病気』について今回ご紹介しようと思います。

 

クリプトスポリジウム症とは?

「クリプトスポリジウム」は腸や呼吸器に感染する原虫と呼ばれる微生物の仲間です。

とても小さく、肉眼では見えませんが、感染すると下痢や体重減少、食欲の低下などが見られることがあります。

多くの鳥さんは自然に免疫で抑えられることもありますが、

・若い鳥さん

・換羽中、繁殖期などで体力が落ちているとき

・新しい環境に来たばかりのとき

などは、症状が出やすくなります。

上記の写真は便検査の中でもショ糖浮遊法という検査により検出されたクリプトスポリジウムです!顕微鏡下でピンク色に確認されます。

☆どんな症状が出るの?☆

腸に感染した場合は下痢や水っぽい便、食欲低下、体重減少、活動性の低下などがみられます。

呼吸器感染の場合はくしゃみや声のかすれ、息がゼーゼーしたりすることがあります。

 ☆どんな鳥さんが注意?

クリプトスポリジウムは多くの鳥の種類で感染の報告があります。

特にコザクラインコに多い傾向があり、その他オウム目のオカメインコ、マメルリハインコ、ボタンインコなどでも感染が報告されています。上記以外にも、ほとんどの鳥さんが感染する可能性があります。

 ☆感染のしくみ

感染は主に『糞便中のオーシスト(卵のようなもの)』を口から取り込むことで起こります。

お水や餌、止まり木、掃除のときの手などからうつることもありますし、複数飼育やペットショップ・預かり施設などで感染が広がることもあります。

 

健診での便検査がおすすめ

クリプトスポリジウムは、見た目が元気でも感染していることがあるため、定期健診のときに便検査を行うことで早期に気づけることがあります。

特に次のようなときは、便検査をおすすめしています!

  • 新しい鳥さんをお迎えしたとき
  • 体重が減った、糞の様子が変わったとき
  • 他の鳥と一緒に過ごす機会があるとき

クリプトスポリジウムは人にも感染することがあるといわれていますので、日常的な衛生管理(手洗い・掃除・ケージの消毒など)にも気をつけましょう。

症状が出てからではなく、定期的な健診や便検査で病気を「早く見つける・広げない」ことが、長く健康に暮らすための第一歩です!(^^)

健康診断のご予約、その他気になることがあれば気軽にお問い合わせくださいね♪

この記事を書いた人

愛玩動物看護師 植松(加藤)
小さい頃から猫がいる環境で過ごしたのをきっかけに動物が大好きになり、動物看護師を目指すようになりました。
現在は動物看護師として立場に加え、病院の運営や業務の効率化にも携わっています。
飼い主さまや大切なご家族である動物たちが安心して通えるように看護の面はもちろん、病院の環境づくりにも力を入れておりますので、何か気になることやご相談などありましたら気軽にお声がけいただければと思います。

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