動物の輸血事情あれこれ

最近、血液が必要な患者さんが連続しており、ポックル動物病院の公式LINEを登録している方には輸血ドナーの協力の緊急連絡が送られたことと思います。毎回、飼い主さんのご協力のおかげで必要な輸血を行うことができており、大変助かっています。いつも本当にありがとうございます!!

今日はどんな動物が輸血できるの?動物の血液型ってあるの?どんな方法で輸血しているの?ドナーとなる場合の注意点、などをまとめたいと思います。

まず動物種ですが、わんちゃん、ねこちゃんはもちろんうさぎさん、モルモットさんなどのげっ歯類、フェレットさん、セキセイインコなどの鳥類、一部爬虫類も輸血が可能です。静脈確保のできない小動物は骨髄留置をとって輸血を行うことがありますが、両生類など輸血は困難な動物もいます。
これまで当院でも犬、猫、うさぎ、フェレット、ハリネズミ、鳥類の輸血を行っています。

現在日本には動物には人のような血液バンクはなく、血液型が知られている動物もいますが飼い主さんが自分の動物の血液型を知っていることはほとんどないと思います。そんな事情の中、輸血可能かどうかは、どんな動物でも血液クロスマッチ(交差適合検査)という検査をして、適合した場合にのみ行うことが出来ます。適合しない場合、輸血した血液により溶血反応が起こってしまうことがあるからです。わんちゃんでは1回目の輸血は溶血反応がなくても、2回目の輸血で強い溶血反応が出ることもあるので毎回検査が必要です。

検査に適合した場合、まずドナー動物から血液を採らせてもらいます。動物によりますが、およそ体重の1~2%程度、わんちゃんだと10kgの子で200mlまで、ねこちゃんだと4kgの子で60mlまでが目安となります。
その子の性格や動物種によっては、安全のために鎮静をかけて採血させてもらうこともあります。

ドナーから採血した血液は固まってしまわないよう、クエン酸ナトリウムという薬剤をいれた輸血用バックに移します。そこからフィルターのついた輸血用ポンプを通して動物にゆっくり入れていきます。最初は副反応が出ないかどうか、脈拍や呼吸数、粘膜色などを確認しながら慎重にいれていきます。

最後にドナーの適正についてですが、基本的には若くて健康、ある程度の体重がある子です。また血液を介して病気をうつしてしまうリスクがあるので、犬猫はワクチンやフィラリア予防をしていることも必要です。さらに性格が温厚な子は鎮静をかけずに行うことができる可能性が高いので、大変ありがたいです。
以前のブログでも紹介させていただきましたが、わんちゃんの供血犬登録も受付ておりますので、こちらも参考にしていただき、ご協力いただける子は登録をお願いします。供血時には身体検査と血液検査を無料でさせていただき、ささやかながら高栄養なごはん等のお礼を差し上げています。今後とも必要な子に必要な治療が提供できるよう、ご協力よろしくお願いいたします!

この記事を書いた人

獣医師 伊村晶子
皮膚科認定の資格取得に向けて勉強中。子供たちに命の大切さを伝える活動もしています。ポックル動物病院も私自身も、動物と飼い主様のお力になれるようずっと成長し続けていきたいと思います。

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