動物に使う抗がん剤について

こんにちは、体(自分の)を労る系獣医師の蒲原です。ストレッチポールというものを入手し毎日体をほぐしております..

さて、今回は抗がん剤のお話です。

抗がん剤治療は簡単に言うと、薬を使ってがん細胞を攻撃し、増殖を抑えたり死滅させたりする治療です。がんの進行を遅らせる・縮小させることで生存期間の延長を目指し、また本人のQOLの向上を目的とします。

切除だけでは治療が不十分な場合や、外科手術が適応ではない種類の腫瘍に対して使用します。数週間に渡り治療が続くことが多いです。

抗がん剤と聞くと重篤な副作用のイメージがあるかもしれませんが、薬剤により副作用は様々です。

今回はリンパ腫(CHOP療法)に使用される抗がん剤について副作用をメインに簡単に紹介してみようと思います。

1. L-アスパラギナーゼ

治療の最初(1週目)に使うことがあります。腫瘍細胞が生きるために必要な栄養の一つ・アスパラギンを減らして腫瘍の増大を弱らせる薬剤で、皮下に打つことができます。

副作用として、まれに強いアレルギー反応(アナフィラキシー)が出ることがあります。吐く、下痢、呼吸が苦しいなど、命に関わることもあるため、事前にアレルギー予防のお薬を使うこともあります。

他にも、膵臓や肝臓、消化管に影響が出ることがあります。消化器症状は他の薬よりは比較的出にくいです。

2. ビンクリスチン

治療の1週目に登場します。L-アスパラギナーゼと同時投与はしません。

腫瘍よう細胞の分裂を止めるお薬で、静脈内に投与します。後にドキソルビシンの紹介でも言及していますが、投与時血管外に漏れてしまうと潰瘍や壊死を引き起こします。

その他の副作用は、食欲不振や下痢、便秘、骨髄抑制(感染しやすくなる.白血球が減る)などがあります。ほとんどが肝臓で代謝されます。7割が糞便中に排泄され、尿中にも少量排泄されます。

3. シクロホスファミド

治療の2週目以降に使います。腫瘍細胞の遺伝子を壊して、増えにくくするお薬です。静脈内もしくは皮下に投与します。

副作用は、骨髄抑制があるほか、血尿や膀胱炎、吐き気などの消化器症状です。膀胱炎を防ぐために水分を多くとらせたり利尿剤を使ったりします。投与したうち6割は尿中に排泄されます。

4. ドキソルビシン

治療の4週目以降に使います。

肝臓で代謝されるので、使う前に少なくとも肝臓の検査は必要です。最大の注意点は「血管の外に漏れると、その部分の皮膚や筋肉が壊死してしまう」ことです。そのため、投与中に動かないよう鎮静や麻酔を使うことがあります。

また、急性の下痢嘔吐など消化器毒性や、骨髄抑制、脱毛がみられることもあります。

主に胆汁・糞便中に排泄されますが、尿中にも排泄されます。

ちなみに投与後、排泄物には毒性があるため注意が必要です。少なくとも投与から2日間は手袋を使用し直接触らないようにしましょう。妊婦さんは可能なら排泄物の処理を他の方に代わってもらうと良いと思います。

と、このような感じです。上記のような副作用・リスクが伴うことを理解した上で、抗がん剤治療に取り組んでいきたいですね。抗がん剤になんとなく不安がある方へ参考になれば幸いです。

この記事を書いた人

獣医師 蒲原(小島)
大学の時に行ったエキゾチックアニマルのイベントがきっかけでヘビが大好きになりました。実際にヘビを飼育することで、犬や猫に加え爬虫類や他エキゾチックアニマルの診療を幅広くしたいという想いがより強くなっていきました。
獣医師としてまだ駆け出しですが、精一杯勉強して多くの患者さんの助けになれるよう頑張ります。

関連記事

  1. わんちゃんのおやつ、本当に安全ですか?

  2. チンチラの歯周病

  3. 耳のお手入れ方法(犬)

  4. 子犬の歩き方に違和感を感じたら

  5. アンケートのご協力ありがとうございました。

  6. 冬の猫の疾患といえば、、、?

最近の記事

  1. 誤食注意報!

    2025.12.4

カテゴリー

アーカイブ
PAGE TOP