冬こそ温度管理をしっかり!

そろそろ冬支度が必要な季節になってきました。
寒くなってくると、飼い猫のろくちゃんが布団の中に入ってくるのでより温かく眠れるんですが、ごそごそする上に重たいので、逆に起こされて若干寝不足気味な院長です。

今回は爬虫類の温度管理について。

え?今更?
温度管理なんて完璧です、という飼い主さんも多くいらっしゃると思います。
ほとんどの飼い主さんはすごく調べられていて、しっかりと温度管理されています。

が、病気になった時と、そうでないときとでも管理が変わってきます。

今回は良くある失敗のケースをみてみましょう

1.ヒーターをいれてるが、温度は測っていない!

診察させていただいていて、結構良くあるケースです。
パネルヒーターをいれてはいるが、本人がその場所にいなかったり、逆に温度が高すぎて低温火傷になってしまっているようなケース。
日中の温度は予想範囲内にあるのに、夜間や早朝は気づかない間に低下している場合もあります。
この場合は、実際に測ってみないときちんと管理出来ているかどうかは誰にも分かりません。
「あれ、体調おかしいかも?」と思ったときには、実際にそのペットがいる環境に温度計を設置して、一番下がっている時の温度と、一番あがっているときの温度をみてみましょう。
最高最低温度計、という物が売られていますので、それを使用されると便利です。

熱が足りないよ・・・。



2.サーモスタットを入れているから大丈夫!
これも1のケースと同じなのですが、サーモスタットのセンサーをどこに設置しているか、きちんと考えていますか?
センサーが結構ケージの上の方に設置されていたり、本人が全くいかない場所に設置されていたりしませんか?
この場合も、センサーが付いている部分だけは自分が予想している温度範囲になっているものの、当のペット本人は狙った温度域では生活できていない、という事が考えられます。
一日中、見張っているわけにはいきませんが、今一度、センサーの位置を考えて設置してみてください。

※病気になっている際には、適正温度域の上限くらいの温度で管理して、温度が下がっているスポットを作らない方がいいとされています。病気の爬虫類は、熱源から敢えて遠ざかろうとする場合もありますので、均一な温度管理がベターだと考えています。

遠いなぁ・・・・。

3.半水棲のカメを飼育しています。水温ヒーターはバッチリです!
半水棲のカメさん、ミシシッピアカミミガメやクサガメがよく飼育されていますが、水温のヒーターは結構設置してくれているのに、陸場は冷えている・・・という事はものすごく多いです。
濡れた状態で陸場にあがって、もしそこの空気が冷えていたら・・・?湯冷めではないですが、結構冷えてしまいそうな事は想像に難くないでしょう。
水温のヒーターは基本として、陸に上がる時にもきちんと甲羅の上部に温かい熱源が来るように設置してあげましょう。陸場が寒いと、陸に出たがらずにずっと水の中、という状態になることもあります。それにより皮膚の問題などが発生する可能性がありますので、陸場の位置を確認した上で設置してあげましょう。
※カメの甲羅内の上部半分には肺があり、毛細血管が発達しています。そこが冷えてしまうと、全身の血液も一緒に冷やされてしまいます!

爬虫類の温度管理は、獣医師が治療をする上では絶対に欠かせないものです。
例えば、適切なお薬を投与しても、その爬虫類が適正な温度範囲内で管理されていないと、ただ効果が無いばかりか、薬がきちんと排泄されず、逆に毒性を持ってしまう可能性もあります。

診察の際によく、「私が注射をいま1本打つより、この足でヒーターと温度計を買いに行ってもらった方が百倍速くなおりますよ」とお伝えしているのですが、あながち誇張でもないと考えています。

特に北海道の冬は乾燥もしますので、温度管理と同時に湿度の管理も重要になってきます。
本格的な冬になるまえに、ご自宅のペットの温度管理をチェックしておきましょう!

この記事を書いた人

院長 伊村啓
院長 伊村啓
動物病院は、飼い主様と一緒に、大切な家族である動物たちの幸せを考え、不安や苦しみを解消する場です。検査もただ行えば良いという訳ではありませんので、必要な理由をきちんとご説明した上で進めていきます。筋道を立て、とにかく分かりやすく説明する事には特に力を入れています。

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