皆さまこんにちは、獣医師の中村です。
最近は朝晩だけでなく、日中晴れていても空気が冷たい日が多くなり、秋の訪れを実感しています。うちのわんこも、気持ちよさそうに日向ぼっこをする時間が増えてきました。
さて、今回は、半導体レーザーによる治療についてのお話です。
当院のブログでも以前取り上げたことがありますが、半導体レーザー(低出力レーザーとも言います) 治療は、レーザーの光を身体に当てることにより血行を改善したり、痛みを和らげる効果がある治療法です。痛みや熱さを伴わない、体にやさしい治療として注目されており、
♦痛みの元となる炎症物質などの代謝を促進させ、痛みを和らげる作用
︎ ♦神経の興奮を抑えて、痛みを和らげる作用
︎ ♦患部の新陳代謝を促進させ、治る速度を早める作用
が期待されます。
当院では、術後の創部や、痛みを伴う関節炎の子などに当てることが多いです。
実際に、レーザー治療で通院してくれている、イングリッシュ・セッターのアメリアちゃんをご紹介します。
アメリアちゃんは、推定11歳以上の、素敵なシニアレディです^ ^
以前から、右肘関節の痛みと歩行のぎこちなさがあり、かかりつけの動物病院で注射や飲み薬の治療を受けていましたが、前ほどの効果が感じられなくなり、レーザー治療を試してみたいとのことで当院にいらっしゃいました。
飼い主様のお話や検査から、やはり右肘の慢性関節炎に伴う痛みがあると考えられ、アメちゃんは週2回の照射でスタートすることにしました。
途中からは、左肘関節にも痛みがありそうなので、両肘に当てています。
気になる効果のほどは、というと、残念ながら劇的に改善!! とまではいかないのですが、お散歩で会ったお知り合いに歩き方が軽快になったね!と言われたり、アメちゃんにお洋服を着せる時の前肢の動きがスムーズになった、など、飼い主様には効果を実感していただけているようで、嬉しい限りです。
日によって波はあるものの、治療前より状態が良くなっており、現在は週1回の照射で継続しています。
レーザー治療は、通常1カ所の照射が1〜3分と短く、前述の通り痛みや熱さもないので、動物への負担が少なく、また基礎疾患や高齢のために薬の使用や手術の身体への影響が心配な症例にも実施しやすいというメリットがあります。
ただし、原因そのものを取り除く訳ではなく、炎症や痛みを緩和するものなので、症例によっては適応外であったり効果に個体差があります。診察の結果、手術や薬をご提案することもあり、これらを組み合わせることもあります。
わんちゃんねこちゃんだけでなく、小動物さんでも場合により実施可能ですので、詳しくは当院にご相談ください。
この記事を書いた人
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出産を機に仕事から離れていましたが、また獣医師として動物と関われることになり、嬉しさと同時に身の引き締まる思いです。
動物と飼い主様の両方に寄り添った診療ができるよう、努めて参りますので、よろしくお願いいたします。
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