雪も溶け始め、暖かい日も増えてきましたね。本州でも北海道でも花粉症に苦しみながら春を楽しむ獣医師の谷です。
モルモットの三大疾患、今回は「外部寄生虫症」のお話です!
モルモットにも他の動物たちと同様に外部寄生虫が感染し、痒み、フケ、脱毛、皮膚炎を起こします。
中でもよくみられるものには以下の4種があげられます。
・センコウヒゼンダニ(モルモットセンコウヒゼンダニ)
・ズツキダニ(モルモットズツキダニ)
・ハジラミ(カビアハジラミ、カビアマルハジラミ)
・ニキビダニ
どの外部寄生虫もモルモットの皮膚や被毛の上で生活しますが、特にセンコウヒゼンダニは皮膚の角質層にトンネルを掘り生活するという特徴があります。また、環境中でもしばらく生存することができます。人にも一時的ですが感染し皮膚炎を起こすこともあります。
そんなヒゼンダニはモルモットの外部寄生虫症のなかでもっとも重篤な症状を起こすことがあります。重度の瘙痒感、フケやかさぶたがみられ、それらに対して自傷することでより皮膚炎が悪化してしまいます。また強い痒みにより発作のような症状を起こすこともあります。
ズツキダニやハジラミでは脱毛やフケ、痒みがみられますが、少数の寄生でははっきりとした症状が現れないこともあります。
いずれも被毛を直接抜いたり、セロハンテープで検体を回収し、顕微鏡で観察し診断します。モルモットの皮膚や毛をよく見ると肉眼で虫体が見えることもあります。センコウヒゼンダニやニキビダニの検出には皮膚を掻きとる検査方法もあります。
これらは寄生が少量であると検出されないこともあります。
治療は駆虫薬を皮膚へ滴下、もしくは皮下注射します。治療には数ヶ月要することもあります。また検査で陰性であっても、特徴的な症状などから仮診断し治療を進めることもあります。
強い痒みにより食欲不振などを併発している場合はそちらに対する治療も行います。
特にお迎えしたてのモルモットさんでの感染が多くみられます。先住モルさんがいる場合には交流させる前に一度診察を受けておくこともおすすめです!
その他の皮膚感染症として、以前にモルモットの真菌感染症のブログもあげています。よろしければ合わせてご覧下さい!
この記事を書いた人
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ハムスターを飼っていたことから、エキゾチックアニマルの診療を行う獣医師になりたいと考えるようになりました。大学在学中にはすっかりモルモットの虜となり、現在は2匹のモルモットとともに暮らしています。
動物たちと飼い主様に寄り添う獣医師になれるよう、日々精進してまいります。
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