フクロモモンガの歯肉炎と抜歯

先日はお休みを頂き、東京で小鳥のセミナーに参加してきました。
今回も大変勉強になることばかり。こういった小さな動物の治療は日進月歩ですので、常に獣医師側もアップデートしていかなければなりません。
しかし前日深夜までの緊急手術、寝ようと思ったら子供の夜泣き、朝五時過ぎに出発して夜11時半に帰宅、さらに大雪で翌日早朝から雪かき。
大変ハードな日程となってしまいました。
風邪を引かないよう、とにかく気をつけないといけませんね。

さて今回は、硬い物を食べなくなった、食べるとき痛そうにしている、というフクロモモンガのラブちゃん。
口の中を見せてもらうと、明らかにグラグラしている歯がありました。
歯は本来、顎の骨に固定されています。しかし歯肉炎や歯周病が進行してしまうと、その骨が溶けてしまいぐらつきが出るようになります。

咬む度に歯が動いて痛いため、食欲が落ちたり、硬い物を食べなくなったりします。

さて、麻酔をかけて見てみると、左の下顎の臼歯は全てぐらぐらしていました(写真の綿棒で押さえているあたり)。
これを放置してしまうと痛みは改善しませんので、全部抜歯する方針としました。
ところが歯が小さい上、口も小さいので、抜歯も大変です。

大げさに見えるかもしれませんが、小動物の治療をきちんとするため、写真の様な拡大鏡と特別に小さな器具を用いて抜歯していきます。

数本抜いた状態の写真はこちら。

もちろん術後はきちんと鎮痛薬と抗生剤を使用して歯肉の炎症と感染を抑えていきます。
治療の甲斐あり、抜歯後は痛そうな様子も無くなって、抜歯跡も綺麗に治っていました。
なんとなく食べ方がおかしくなった場合、ひょっとしたら歯の病気かもしれません。
歳を取ったせいだよね!と片付けないで、一度病院にご相談下さいね。

この記事を書いた人

院長 伊村啓
院長 伊村啓
動物病院は、飼い主様と一緒に、大切な家族である動物たちの幸せを考え、不安や苦しみを解消する場です。検査もただ行えば良いという訳ではありませんので、必要な理由をきちんとご説明した上で進めていきます。筋道を立て、とにかく分かりやすく説明する事には特に力を入れています。

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